2014 Fiscal Year Research-status Report
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24500375
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
金子 涼輔 群馬大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (40390695)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 神経回路形成 / GABA / 小脳 / 局所回路 / 神経ネットワーク |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は小脳バスケット細胞―プルキンエ細胞間の神経回路をモデル解析系として、「Pcdh欠損マウスにおける個々の神経回路の形態学的解析」を行った。 プルキンエ細胞およびバスケット細胞における部位特異的Pcdh欠損マウスの作製と解析を行なった。(1)プルキンエ細胞特異的Pcdh-γ欠損マウス(Pcdh-γ flox; L7-Creマウス):バスケット細胞―プルキンエ細胞間の神経回路を形態学的に解析した。まず、平成24年度に開発成功した個々の神経回路を可視化する遺伝子改変マウスとプルキンエ細胞特異的Pcdh-γ欠損マウスとを交配させ、多重遺伝子改変マウスを作製した。その後、胎児期でのタモキシフェン投与により単一バスケット細胞を赤色蛍光タンパク質tdTomatoによって可視化した。本回路完成の前(生後7日齢)と後(生後21日齢)に灌流固定、切片化の後、蛍光顕微鏡を用いて観察した。プルキンエ細胞特異的Pcdh-γ欠損マウスにおいて軸索が短く、結合ニューロン数が少ないバスケット細胞が見つかった。今後は定量的解析を進める。(2)バスケット細胞でのPcdh-γ欠損マウス(Pcdh-γ flox; PV-Creマウス):バスケット細胞におけるPcdh-γ欠損の影響を調べるため、PV-CreマウスとPcdh-γ floxマウスと交配した。本マウスは運動機能障害を呈し、小脳回路の異常が示唆された。小脳を形態学的に解析した結果、バスケット細胞数が減少していた。今後は、マウス個体レベルでの小脳機能を調べる。 また、「個々の神経回路におけるPcdhの発現解析」を行なうため、当初はsingle-cell RT-PCR法を計画していた。予備実験の結果、Pcdhは発現量が少ないため困難であった。そこで、別手法としてノックインマウスの作製を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成26年度には、24年度に確立した個々の神経回路の可視化手法を用いて「Pcdh欠損マウスにおける個々の神経回路の形態学的解析」を計画・実行した。実験手法改良の必要性が判明したため、予備的結果に留まっている。以下にその内容を記す。(1)解析に必須となる遺伝子改変マウスの交配・繁殖が順調に進み、解析を行った。その結果、プルキンエ細胞特異的Pcdh-γ欠損マウスにおいて軸索が短いバスケット細胞を見いだした。しかし、細胞ごとの軸索長やその伸長方向のばらつきが大きい事も判明した。立体空間中における定量的解析手法の確立が必要である。2種類の画像解析ソフトウェア(ImarisおよびNeurolucida)を比較検討している。(2)バスケット細胞におけるPcdh-γ欠損の影響を調べるため、PV-CreマウスとPcdh-γ floxマウスと交配した。本マウスは運動機能の異常を見出した。興味深いことに、バスケット細胞数の減少を見いだした。一方、小脳萎縮も見いだした。運動機能異常の原因としてこれら表現型の複合要因が考えられるため、結果の解釈を慎重に行なう必要がある。(3)「個々の神経回路におけるPcdhの発現解析」を行なうため、single-cell RT-PCR法の予備実験を行った。しかし、Pcdhの検出はできていなかった。そこで、別手法としてノックインマウスの作製に成功しつつある。以上より、実施した3つの実験で仮説を支持する予備的結果を得たものの、今後の検討課題も見つかった。したがって、「やや遅れている」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も小脳バスケット細胞―プルキンエ細胞間の神経回路をモデル解析系として、個々のニューロン識別機構の解析を進める。課題「Pcdh欠損マウスにおける個々の神経回路の形態学的解析」においては2系統のPcdh欠損マウス(プルキンエ細胞特異的Pcdh-γ欠損マウスおよびバスケット細胞でのPcdh-γ欠損マウス)の個々の神経回路の形態学的解析を行う。昨年度に判明した技術的課題「立体空間中における定量的解析手法」を確立するため、2種類の画像解析ソフトウェアImarisとNeurolucidaを比較検討する。課題「個々の神経回路におけるPcdhの発現解析」においては、Pcdh単一アイソフォームの発現を蛍光標識できるノックインマウスの開発を進めている。本マウス脳ではPcdh発現に類似した蛍光標識を確認している。今後はPcdh単一アイソフォームの発現と蛍光パターンとの相関性を確認する。その後、小脳バスケット細胞―プルキンエ細胞間の神経回路における蛍光パターンを解析する。特に、本回路完成の前(生後7日齢)と後(生後21日齢)において、小脳バスケット細胞―プルキンエ細胞におけるPcdh単一アイソフォーム発現が同一か否かを蛍光パターンを指標として解析する。これらの解析により、仮説「同一Pcdhを発現するニューロン同士で神経回路を作る」を検証し、個々のニューロン識別機構の解析を目指す。
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Causes of Carryover |
本研究では神経回路形成における個々のニューロン識別機構の解明を目指している。そのため、遺伝子改変マウスを開発し、繁殖の後、解析に用いる計画であった。しかしながら、所属機関の動物飼育施設の改修工事のための飼育室移転に伴って、マウス飼育数を減少させた。その結果、実験に用いる遺伝子改変マウス供給数が十分に揃わなかったため、実験の進展が遅れた。これにより未使用額が発生した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
現在、遺伝子改変マウスが順調に増えだしている。そのため、次年度に、26年度に予定していた実験を行なう。このために必要な試薬類、プラスチック製品、マウス飼育費に充てる。
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Research Products
(4 results)