2012 Fiscal Year Research-status Report
ウイルスベクターを用いた入出力解析法による、中脳ドーパミン細胞の機能的差異の解析
Project/Area Number |
24500379
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
井上 謙一 京都大学, 霊長類研究所, 助教 (90455395)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 神経科学 / 脳・神経 / バイオテクノロジー / ウイルスベクター / 解剖学 |
Research Abstract |
本研究では、ウイルスベクターを用いた特定ニューロン集団における入出力解析法を開発・利用して、霊長類中脳ドーパミンニューロンにおける機能集団ごとの入出力の違いを解剖学的あるいは光生理学的に解析している。本年度は、まず線条体特定部位に投射する中脳ドーパミンニューロンにおいてマーカー蛋白質を強力に発現させるためのシステムとして、研究代表者らが近年開発に成功した逆行性レンチウイルス(LV)ベクターとアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクター、およびTet-On発現誘導系を利用した経路選択的細胞可視化法を開発し、リーク発現低減や発現量増加の為の改変を行った。また、線条体特定部位に投射する中脳ドーパミンニューロンからの単シナプス性逆行性トレーシングを実現するために利用するG遺伝子欠損型狂犬病ウイルスベクター(delG-RV)のベースとなる狂犬病ウイルスベクターのゲノム配列の改変を行い、外来遺伝子を高発現する改変型狂犬病ウイルスベクターを作成した。次いで、各種蛍光タンパク質遺伝子を導入した同ベクターのサル皮質内注入により、蛍光タンパク質による多重ラベリングが可能であることを確認した。また、興奮性のOpsin(ChR2改変体)を発現するアデノ随伴ウイルスと光ファイバーを貼り付けた電極を使用して、光刺激によるニューロンの活動変化をサルで記録することに成功し、各種のOpsinを導入した逆行性感染型LVベクターを作成した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請書の研究の目的および実施計画欄に記載した、線条体特定部位に投射する中脳ドーパミンニューロンの軸索投射解析法の実現、線条体特定部位に投射する中脳ドーパミンニューロンの入力解析法の実現、の2項目において当初見込んだ通りの成果を得ており、また翌年度に本格的に開始する霊長類における光刺激による神経活動制御システムの検討に関しても成果が得られ、研究が順調に進展していると考えられるため。
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Strategy for Future Research Activity |
研究は当初の予定通り順調に進展していると考えられるため、今後も当初の予定に従い、前年度開発に成功した特定ニューロン集団における軸索投射解析法と入力解析法を組み合わせ、線条体注入部位に投射する中脳ドーパミンニューロンにおいて、ベクターの多重感染が、軸索の強力な可視化および狂犬病ウイルスベクターの単シナプス性逆行性感染伝播を誘導することを確認し、その入出力を同定する。必要に応じて、Tet-Off系を用いる手法なども検討する。また、霊長類において光刺激により投射関係を推定する神経活動制御システムの検討に関しても当初計画通り研究を推進する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
交付申請書の実施計画欄に記載した、霊長類における光刺激による神経活動制御システムの検討および線条体特定部位に投射する中脳ドーパミンニューロンの入力解析に使用するほか、前年度に開発した特定ニューロン集団における軸索投射解析法と入力解析法を改良し効率や選択性を向上させるための研究に使用する。
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