2013 Fiscal Year Research-status Report
神経活動依存的なニューロプシン-Neuregulin-1シグナリングの解明
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24500439
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
田村 英紀 奈良先端科学技術大学院大学, バイオサイエンス研究科, 助教 (80437516)
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Keywords | プロテオリシス / シナプス / 神経可塑性 / 海馬 / セリンプロテアーゼ / 抑制性伝達 / パルブアルブミン / 統合失調症 |
Research Abstract |
プロテアーゼによるシグナル分子の限定切断機構は、哺乳類の神経可塑性やヒトの精神活動に関与する。これまで我々は、細胞外セリンプロテアーゼ・ニューロプシンによる神経栄養因子Neuregulin-1(NRG-1)の限定解裂機構が、抑制性活動の制御に極めて重要な役割を果たしていることを明らかとした。本年度は、興奮性の神経活動依存的なニューロプシンシグナルの活性化が生体内においても生じているかどうかを検討するために、カイニン酸を用いたてんかんモデルマウスを解析した。てんかん重積状態となるカイニン酸投与4-6 時間後で、ニューロプシンの活性化やNRG-1 mRNA の発現上昇およびNRG-1 の受容体であるErbB4 のリン酸化の亢進が認められた。興味深いことに、ニューロプシン活性化のタイムコースと同期してErbB4 陽性で且つパルブアルブミン陽性抑制性神経細胞の活動も上昇していた。このことは、ニューロプシンシグナルによる抑制性伝達の制御が神経可塑性に重要であることを示唆している。実際、ニューロプシン遺伝子欠損動物において、パルブアルブミンの発現異常および抑制性シナプスに局在するGABA 受容体の異所的な局在が観察された。 また、神経活動依存的なニューロプシンによるNRG-1 切断機構を調べるためには、その切断断片を生体内で検出することが必須であるが、これまでこれは困難であった。我々は、この問題を克服するために、ニューロプシンによる切断部位のみを認識する抗体を作成した。この抗体は、未切断のNRG-1 は認識せず、切断されたNRG-1 のみを認識した。これにより、ニューロプシン特異的なNRG-1 のプロセシングを生体内で検出することができ、ニューロプシンの作用点を時空間的にプロファイリングすることが可能となる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究計画に記載した神経活動依存的なニューロプシンの挙動およびそのシグナルの下流にパルブアルブミン陽性抑制性神経細胞が関与していることを示すことができたので。
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Strategy for Future Research Activity |
ニューロプシン/NRG-1 限定解裂によるパルブアルブミン陽性抑制性神経細胞の制御機構の生理的役割を明らかとするために、神経回路のオシレーション形成をニューロプシン遺伝子欠損マウスを用いて解析する。
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Research Products
(3 results)