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2012 Fiscal Year Research-status Report

SAM系マウスを用いた潰瘍性大腸炎の原因遺伝子の同定

Research Project

Project/Area Number 24500487
Research Category

Grant-in-Aid for Scientific Research (C)

Research InstitutionShinshu University

Principal Investigator

森 政之  信州大学, 医学系研究科, 准教授 (60273190)

Project Period (FY) 2012-04-01 – 2015-03-31
Keywords潰瘍性大腸炎 / 疾患モデル / マウス / 遺伝子
Research Abstract

Abcb1a遺伝子に機能喪失型突然変異をもつSAMP1系マウスを用いて、第16番染色体上のD16Mit203とD16Mit53マーカー遺伝子の間の約14.5 Mbの領域に存在し、潰瘍性大腸炎の発症に関与する遺伝子のポジショナルクローニングを試みた。
NCBIのマウスゲノムのドラフトシークエンスデータを参照し、この染色体領域内に存在する遺伝子107個を抽出した。これらのうち25個の遺伝子に関して、PCRクローニングと塩基配列決定によりFVB/N とSAMP1マウス系統間での塩基配列多型(突然変異)を検索した結果、5個の遺伝子に関してマイクロサテライト多型、または一塩基置換多型が見つかった。
同定された系統間多型のうち、Interferon (alpha and beta) receptor 1 (Ifnar1)遺伝子内のもの以外は機能的に重要とは考えられなかった。一方、Ifnar1遺伝子内の一塩基置換多型は第7エクソン内にあるミスセンス塩基置換であった。すなわち274番目のコドンの第2塩基がSAMP1ではA (cAt)、FVB/NではG (cGt)であるために、274番目のアミノ酸のヒスチジン(SAMP1)からアルギニン (FVB/N)への置換(H274R)が予測されるものであり、機能的多型である可能性が考えられた。
そこでIfnar1遺伝子内のノックアウトマウスを入手し、SAMP1マウスとの交配によりAbcb1a遺伝子とIfnar1遺伝子内のダブルノックアウトマウスを作出した結果、これらのマウスでは潰瘍性大腸炎が発症しないことが確認された。この結果から、潰瘍性大腸炎の発症にはFVB/N系マウスの第13番染色体上に存在する遺伝子の関与が必須である可能性が考えられた。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

本研究の目的はSAM系マウスを用いて潰瘍性大腸炎の発症に関与する第16番染色体上の比較的強い効果をもつ原因遺伝子、および第13番染色体上の弱い効果を持つ原因遺伝子をポジショナルクローニングし、疾患発症に至る分子遺伝学的メカニズムを解明することである。今年度までに第16番染色体上の原因候補遺伝子としてIfnar1遺伝子上の塩基多型の同定を完了し、その遺伝子のノックアウトマウスとSAMP1系マウスの交配実験を遂行することができた。しかしながらこの過程で、当初の我々の仮説とは異なり、潰瘍性大腸炎の発症にはFVB/N系マウスに由来する第13番染色体上の遺伝子が必須であることを示唆するデータが得られた。そのために、マウス系統間の交配様式の再考察が必要となったために、当初の計画よりも達成度が遅れてしまった。

Strategy for Future Research Activity

Ifnar1遺伝子内のミスセンス変異がABCB1A欠損条件下で潰瘍性大腸炎発症への感受性を規定するものであるか否かの検証、および当該染色体領域内にある未調査の69個の遺伝子に関して多型(変異)検索を平行して進める。
Ifnar1遺伝子内のミスセンス変異がABCB1A欠損条件下で潰瘍性大腸炎発症への感受性を規定するものであるか否かを検証するために、I型インターフェロン受容体のレポーター遺伝子活性測定法を考案し、その有効性を実証しつつミスセンス変異が機能的多型であるか否かを検証する。また、FVB/N、およびSAMP1系マウスより胎児性繊維芽細胞(MEF)を確立し、I型インターフェロンに対する反応性を比較調査する。
当該染色体領域内にある未調査の69個の遺伝子に関して、PCRクローニングと塩基配列決定により、FVB/N とSAMP1マウス系統間での塩基配列多型(突然変異)を検索する。
FVB/N系マウスの第13番染色体上の原因遺伝子の関与を証明し、同定するために、SAMP1系マウス、およびAbcb1a遺伝子とIfnar1遺伝子内のダブルノックアウトマウスにFVB/N系マウスの第13番染色体を導入したコンジェニック系マウスの確立を行なう。平行して第13番染色体上の原因候補遺伝子の多型(変異)検索を進める。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

当初研究計画の達成が遅れたために、それを土台として進める予定であった実験に必要な物品の購入、および実験用マウスの飼育維持費、マウスの飼育補助を依頼する大学院生への謝金、および予定していた研究成果の学会発表のための出張旅費、研究成果投稿料として計上していた分の前年度未使用額が生じた。この額を合わせた以下の使用計画を立てた。
物品費は、実験用マウス(SAMP1、FVB/N、Ifnar1遺伝子ノックアウトマウス)、遺伝子クローニング、細胞培養、レポーターアッセイに必要な試薬類、その他の消耗品(プラスチックチュブなど)の購入に充てる。
旅費は、本研究成果の発表のために7月に名古屋市で開催される老化促進モデルマウス(SAM)研究協議会研究発表会への出張を予定しており、その費用として使用する。
人件費は、マウスの飼育補助を依頼する大学院生への謝金として使用する。
その他の費用は、マウス飼育費用、および研究成果投稿料(英文校閲を含む)として使用する。

  • Research Products

    (2 results)

All 2013 Other

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results) Presentation (1 results)

  • [Journal Article] Exome sequencing of senescence-accelerated mice (SAM) reveals deleterious mutations in degenerative disease-causing genes.2013

    • Author(s)
      Tanisawa K, Mori M (6番目), 他23名
    • Journal Title

      BMC Genomics

      Volume: 14 Pages: 248

    • DOI

      10.1186/1471-2164-14-248

    • Peer Reviewed
  • [Presentation] Senescence-accelerated mice (SAM) are not aging models but late-onset disease models

    • Author(s)
      Kumpei Tanisawa, Ikuroh Ohsawa, Masafumi Ito, Atsuyoshi Shimada, Masayuki Mori, Mitsuru Higuchi, and Masashi Tanaka
    • Organizer
      The Gerontological Society of America 第65回大会
    • Place of Presentation
      San Diego, USA

URL: 

Published: 2014-07-24  

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