2013 Fiscal Year Research-status Report
収縮中後期僧帽弁逸脱における左室・僧帽弁連関(乳頭筋の異常上方運動)の役割
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24500562
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Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
尾辻 豊 産業医科大学, 医学部, 教授 (30264427)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹内 正明 産業医科大学, 医学部, 准教授 (30236434)
芳谷 英俊 産業医科大学, 医学部, 助教 (30351894)
春木 伸彦 産業医科大学, 医学部, 助教 (70469394)
桑木 恒 産業医科大学, 医学部, 非常勤医師 (80623868)
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Keywords | 心エコー図 / 僧帽弁逸脱 |
Research Abstract |
収縮中後期僧帽弁逸脱(MVP)では、弁逸脱が収縮早期にはなく(あるいは軽く)収縮中期から後期にかけて逸脱が見られる。その機序は未だ解明されていない。正常者の乳頭筋・僧帽弁輪の位置関係は次のようである。収縮早期から収縮後期にかけて乳頭筋基部と僧帽弁輪間 の距離は短縮する、また乳頭筋自体も短縮する。この結果、僧帽弁輪面から乳頭筋先端までの距離は殆んど変化せず一定に保たれる。このために正常者では左室が収縮期に縮小し、乳頭筋基部と僧帽弁輪間の距離が短縮してもMVPは出現しない。収縮後期にMVPが増悪するためには乳頭筋が僧帽弁方向に移動するか、あるいは腱索が収縮期に延長するか、この二つの可能性しかない。腱索は硬い線維成分で主に構成されておりストレスが加わっても延長しないと考えられる。以上をふまえて以下の仮説「全収縮期MVPにおいて僧帽弁輪から乳頭筋先端までの距離は収縮早期から後期にかけて一定に保たれるが、収縮中後期MVPにおいては乳頭筋先端が収縮期に僧帽弁輪方向(上方)へ異常に移動し、収縮中後期MVPに合致した運動を呈する。」を提唱した。我々は収縮後期MVP15例において心エコー図のスペックルトラッキングを用いて乳頭筋先端・乳頭筋基部と僧帽弁輪間の位置関係を評価し、同時に乳頭筋の収縮を測定した。収縮後期MVPにおいては、乳頭筋先端は収縮期に僧帽弁輪方向へ近づく異常運動が見られた。また、乳頭筋基部も同様の異常運動が見られ、乳頭筋の収縮は低下していた。これらの異常は全収縮期MVPや正常者では見られず、乳頭筋の異常動態が収縮後期MVPと関連していることが判明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
15例ほどの解析が済んでおり、概ね仮説通りの結果が得られている。
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Strategy for Future Research Activity |
僧帽弁手術前後の解析を加えるとさらにメカニズムが判明するので、収縮後期MVPの手術前後での解析を加えたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
情報収集のための学会出張等が予定外の仕事(救急医療への対応や予期せぬ学生教育関連の仕事)により行えなかったり、データ解析のための機器やプログラムが既存のもので思考可能であったりして購入の必要がなかったりしたため。 研究遂行にかかる必要な消耗品・備品を購入し、情報収集のための出張費にも使用し、論文作成を目指す。
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Research Products
(1 results)