2012 Fiscal Year Research-status Report
運動筋への局所温熱が運動時インターロイキン6の分泌に与える影響についての検討
Project/Area Number |
24500605
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
伊藤 倫之 和歌山県立医科大学, みらい医療推進センター, 講師 (90305566)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 隆紀 関西医療大学, 保健医療学部, 講師 (60454659)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | インターロイキン6 / 運動負荷 / 局所温熱 / リハビリテーション |
Research Abstract |
運動誘発の筋由来インターロイキン6(IL-6)は一般的に糖代謝、脂質代謝を改善させるといわれている。しかし、IL-6を誘発させる運動は、高強度、運動時間が長時間と実際の糖尿病や生活習慣病をもつ患者(高齢で運動習慣がない)には運動療法として応用できないのが現実である。われわれの研究室では、20分間の全身温浴がIL-6を上昇させることを報告した。そこでこの研究では、実際に運動する筋に局所温熱負荷を与えることによってIL-6を誘導する運動の負荷軽減、時間短縮が図れないかを解明する。今年度ではまず、局所温熱でIL-6が誘導されるかを検討する。 高齢者に行う運動負荷はVO2max60%が妥当であり、IL-6誘導には過去の報告から考慮しても30分以上の運動は必要と思われる。今年度の研究では、30分の局所温熱負荷によってIL-6が誘発されるかを検討する目的で、VO2max60%の運動負荷強度で20分、30分の運動を電気式ホットパックで両大腿部に局所温熱負荷した条件としない条件で運動で行って、IL-6濃度の変化を運動前と運動後2時間で検討した。若年男性3名ずつ(異なる被験者)で測定を行った。20分の運動では、運動のみで1.2pg/mLから1.9 pg/mLに、運動+局所温熱でも0.7pg/mLから1.6pg/mLと大きな変化は見られなかった。それに対して、30分の運動では、運動のみでは、2.7pg/mLから2.2pg/mLと変化なかったのに対して、ホットパックしながらの運動では、1.6pg/mLから5.5pg/mLと3.4倍に上昇した。これによりVO2max60%の運動負荷強度で30分運動であれば、局所温熱負荷時のみにIL-6を誘導するのに十分な運動負荷であることが分かった。今後来年度には、本格的な測定を開始するとともに局所温熱で安静のデータも合わせて測定して行く。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度の目的であった局所温熱を付加することによって運動中のIL-6を誘導する負荷強度、時間を解明することがVO2max60%で30分であることが判明した。およびその運動負荷強度では、局所温熱がないとIL-6を誘導しないことも分かり、今回の研究の仮説が正しいことが証明された。今後も予定通りに研究を進めて行く予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の研究計画通り運動負荷強度をVO2max60%で、運動時間を30分で被験者1名につき以下の2条件で測定を行う。順番は無作為で1)運動条件(運動のみ)2)温熱運動条件(温熱+運動) それぞれ条件では、深部体温は食道温を、両大腿部、両下腿部の皮膚温をそれぞれ熱電対で測定する。モニター心電図による心拍数、血圧測定を行う。体温、心拍数、血圧は連続測定する。また、血算、コルチゾール、カテコラミン、IL-6、高感度IL-10、高感度TNF-α、高感度CRP、成長ホルモン、アルドステロンを測定採血によって測定する。 2条件とも安静座位を1時間とり採血、その後VO2maxの60%の負荷強度で自転車エルゴメータ運動を30分行う。2)の条件では運動開始と同時に電気式ホットパックの電源を投入し、加温をしながら、運動を行う。1)、2)の運動負荷強度は、心拍数のみでなく、運動開始5~10分で呼気ガス分析装置を使用して設定した酸素摂取量であるかの確認を行う。運動終了直前に採血を行う。その後1)、3)では電気式ホットパックの電源をoffとし、そのまま大腿部に巻いた状態で2時間安静座位にし、採血を行う。 ただ、今回の予備研究において、電気式ホットパックは自転車駆動に対して抵抗になることが分かった。代替え手段として温熱負荷装置として利用されているWater-perfused suitを繰り越し額(451,428円)以内で購入し、前年度購入したサーモサーキュレーターを用い、電気式ホットパックと同じような温熱負荷を行えるか検討を加え、よりよいものを本研究で用いる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今年度451,428円が次年度に繰り越させるが、前述のとおり予備研究において、電気式ホットパックは自転車駆動に対して抵抗になることが分かった。代替え手段として温熱負荷装置として利用されているWater-perfused suitを約42万円($4193)で購入する。サイズはSとMを1着ずつの合計2着であり、既に購入は決定して支払いも完了しているが、海外からの輸送となるため、現在まだ納品書準備が未である。また、Water-perfused suitと既に購入済みの恒温槽とをつなぐためにホース等の備品を3万円で購入予定である。
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