2012 Fiscal Year Research-status Report
地域高齢者の健康・安全を支える生活能力バーチャル評価システムの開発と検証
Project/Area Number |
24500643
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
二木 淑子 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (40300074)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡橋 さやか 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (20610760)
小山 真紀(田原真紀) 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (70462942)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 医療・福祉 / 高齢者 / 健康 / 地域 / バーチャル |
Research Abstract |
本研究の目的は、高齢者の健康で安全な日常生活を支援するための「生活能力バーチャル評価システム」を開発し、その有用性について検討することである。平成24年度は以下の研究成果を得た。 (1)地域高齢者135名を対象に転倒歴と活動の自制について調査し、生活機能レベルを含めたそれらの関係性について検討した。1年間に約30%が転倒を経験し、活動の自制は対象者の37%に生じていた。また、1年に1回以上転倒した者において要介護化リスクの予測指標が高値であった。 (2)高齢者の動作認識および日常生活活動評価システムを試作した。マイクロソフト社のKinectセンサーを用いてセンサー前にいる被検者のスケルトントラッキングデータ評価システムを構築し、健常者を対象に予備実験を施行した。紅茶を淹れる動作、洗濯物を干す動作等、いくつかのInstrumental Activity of Daily Living(IADL)を取り上げ、評価手順を一定として測定した。評価指標として重要な指標を選択するための基礎データを得た。 (3)地域在住の女性高齢者を対象に、自身にとって「意味ある活動」(Meaningful Occupation)についてインタビュー調査を実施した。テキストマイニングを用いた分析から、肯定的意味を有する単語は人付き合いに関する文脈に関連することがわかった。 以上の成果は6編の国内・国際学会での発表、1編の国内雑誌への論文発表を行った。本年度は京都大学医の倫理委員会の承認を得、本研究の基盤を構築することができた。次年度以降は個々の研究をより統合し、臨床応用に向けた研究を推進する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は3年計画であるが、初年度の第一段階の目標としていたフィールド調査やシステム開発を実行することができた。 地域高齢者を対象とした転倒恐怖感や意味ある活動に関する調査を通して得られた結果は、来年度以降のシステムの開発において基盤的意味をもつ。 これと平行して、評価システムの技術的開発を一定の段階まで進め、実際に開発システムを用いて測定可能かどうかについて予備実験を通して検討することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の研究をさらに発展させ、推進する予定としている。今年度同様、フィールド調査とシステム開発・臨床実験の2本立てとして進め、それらをさらに統合する予定である。(1)地域高齢者を対象とした転倒歴と活動の自制、および意味ある活動についてインタビュー、質問紙による調査を通してデータ収集、検討する。 (2)高齢者の動作認識および日常生活活動評価システムの試作を改良し、臨床応用に向けた完成度を高める。マイクロソフト社のKinectセンサーを用いてセンサー前にいる被検者のスケルトントラッキングデータ評価システムを構築するが、その対象となる動作の種類や取得情報の質を向上させ、若年・高齢者における結果の比較検討を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度は今年度開発したシステムを用いて積極的にデータ収集、分析し、システムの実用化に向けた改良を行う。そのための物品費や改良にかかわる経費が必要となる。また、幅広い年齢層を対象とした調査のための旅費・人件費等を計上する予定である。 研究を通して得られた成果については、国際・国内学会での発表を予定しており、そのための渡航費、参加費、それらの成果を広く流通させるための論文や印刷物の印刷費を予算に含めている。 本研究は人間健康科学、および工学の研究者が共同で遂行しているため、来年度の経費においても研究分担に応じた適切な配分を行う予定である。
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Research Products
(7 results)