2012 Fiscal Year Research-status Report
自転車事故防止にむけた自転車運転中の注視点移動と能動的注意との関連に関する研究
Project/Area Number |
24500678
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
下田 政博 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (80302909)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 能動的注意 / 注視点 / 自転車 / 前頭前野 |
Research Abstract |
本研究は,自転車運転者の注視点移動パターン及び運転パフォーマンスと能動的注意との関連性を検討し,自転車事故発生要因の科学的理解ならびに安全な自転車利用の促進に役立てようとするものである.24年度では自転車運転中の注視点移動パターンの解析を中心に行った。大学生15名を対象に、自転車通行可の歩道及び住宅地内の生活道路を走行中の注視点を記録し、信号のある交差点、信号のない交差点、他者とのすれ違い時における注視点挙動を解析した。信号のある交差点(全3カ所)では、注視点移動パターンが個人内で同一であった。信号のない交差点(全2カ所)では、安全確認のために左右方向への注視点移動を行うものが多数であった。他者とのすれ違い時では、すれ違う対象に注視点が移動するものが8名で、個人内で同じ移動パターンを示し、他の7名は対象に注視点が移動しなかった。これらから、自転車走行中の注視点移動は事象ごとに習慣化しているパターンやそうでないパターンがあり、安全確認方法が多様化していることが示唆された。 24年度予定より早期に進行したため、次年度計画であった前頭前野の神経活動と注視点移動パターンの関連性を調べる課題に着手できた。自転車走行中、注視点移動記録と同時に、前額部に近赤外線組織酸素モニタのプローブを装着し、脳酸素動態を計測した。屋外での計測のため、プローブに対する遮光の工夫を検討した結果、ある程度日光の影響を取り除くことが出来た。しかしながら、計測データへのアイカメラの赤外光ノイズの混入が有り、デジタルフィルタ処理を検討中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定していた注視点移動パターンの抽出は概ね完了した。 次年度のためのシステム開発に着手し、順調に進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
25年度以降は、脳波・脳酸素動態と注視点移動の同時計測を行い、脳の注意機能および認知機能と注視点移動、自転車走行パフォーマンスとの関連性を検討する予定である。そのため、同時計測収録システムを開発する。これまでの実験の結果、自転車走行中の脳波計測では、脳波用電極の固定が技術的に最重要の問題であり、これをクリアしたいと考えている。また、適切なデジタルフィルタ処理を検討し、脳酸素動態と注視点移動パターンの解析を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
脳酸素動態と注視点移動の同時計測実験を行うため、その消耗品購入や、被験者及び実験協力者への人件費として執行する。24年度予算の残高は、実験協力者数が予定より少なかったために発生したもので、25年度の実験協力者への人件費に充てる。 脳波・脳酸素動態と注視点移動の同時計測収録システムの開発においては、専門家による技術支援を依頼済みであり、その役務費を支払う。
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Research Products
(2 results)