2012 Fiscal Year Research-status Report
スロー系ダンス、リズム運動が中高年女性に及ぼす効果
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24500712
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Bunka Gakuen University |
Principal Investigator |
永野 順子 文化学園大学, 服装学部, 教授 (60150744)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安広 美智子 聖徳大学, 児童学部, 教授 (20239776)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 中高年女性 / 中等度強度のダンス / Stroopテスト / 主観的運動強度 / POMSテスト / ダンスの習熟度 |
Research Abstract |
中高年女性を対象に中等度強度の定型ダンスの効果について検討した。 1、56歳から80歳までの中高年女性(1期20名、2期15名)を対象にダンス講習会を開催した。講習前に健康状態のチェックと生活習慣・運動習慣の調査を質問紙によって行った。 2、運動は1回に90分、週1回のペースで全18回実施し、内容は「ストレッチ→ステップ練習→部分練習→主運動」の順に組み立てた。主運動は主に「学校ダンス」とした。 3、研究結果(1)我々の先行研究で、定型ダンスは動きを覚えなければ踊れないために、それをストレスと感じる被験者がいた。このことから、熟知したダンスと初めて習うダンスで運動前後に課した認知課題に影響が出るかを検証すると、認知課題(CWST)への効果に差はなく、2条件とも運動後に成績が向上した。研究結果(2)定型ダンスにおける運動強度は経験者が初心者より高い傾向が知られてきたが、継続による変化を測定した研究はなかった。継続によって運動強度は有意に(p<0.05)漸減し、習熟による運動効率の改善が示唆された。研究結果(3)中等度ダンスに対する中年女性と高齢女性の気分への効果の差と主観的運動強度の差を検証した。高齢女性の方が気分改善の傾向が弱く、主観的運動強度は高い傾向となった。加齢によって最大心拍数が低くなることが相対的な運動強度の差となって現れたと考えられる。高齢者が混在する被験者群にあっては全体の運動プログラムにおいて高齢者の疲労や主観的な運動強度への配慮が必要となることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
中高年女性を対象にスロー系(中等度強度)ダンスの効果を検証する目的で、計18回のダンス講習会を開催した。データ集積と分析を行い関連学会にて報告した。 本年度の目標であった気分への効果(POMSテスト)と認知課題への効果(Stroopテスト)の検証を試みた。気分への効果(POMSテスト)については第23回比較舞踊学会にて報告し、認知課題への効果(Stroopテスト)については第67回日本体力医学会にて第1段階の報告をすることができた。また、平成26年度に検証の予定であった、運動強度の課題についても先行して実験し、運動の継続による習熟とそれによる運動効率の改善が示唆され、第23回比較舞踊学会にて報告することができた。 特に、気分への効果と主観的運動強度については、高齢女性の方が気分改善の傾向が弱く、主観的運動強度は高い傾向となった。後期高齢者が中年層と混在する被験者群にあっては全体の運動プログラムにおいて高齢者の疲労や主観的運動強度への配慮が必要となることが新たな課題となった。 一方で、心電図のR-R間隔の揺らぎの変化を測定することで自律神経系の優位性を検証する課題は、当初予定していたPOLAR社の機器からGMS社の機器に変更するに伴い、機器のプレテストを行うにとどまった。また、ストレスマーカーの測定によるストレスへの効果については実験することができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25、26年度とも、当初の計画通りスロー系ダンスの運動効果を検証する予定であり、そのために25年度は年間で18回のダンス講習会を開催し、被験者を募る予定である。 25年度 「姿勢」に及ぼすスロー系ダンスの効果を計測するために、運動前後の脊椎アライメントの湾曲と傾斜をindex社製のSpinalMouseによって測定する。ただし計器は学内の他研究室から借用の予定である。ほかの測定項目である「バランス」は本学所有の機器によって運動の継続による効果を測定する<安広>。また、「柔軟性」については高精度の筋硬度計の導入によってダンスへの効果を測定する<永野>。これらの研究結果を関連学会において報告する。 26年度 スロー系ダンスの運動としての妥当性、有用性を循環系の測定指標によって検証する<永野>。これまで集積してきた研究成果を冊子化して広報する予定であるが、それに先立って、リズム運動系の大規模な集団のアンケート調査を実施する予定である<永野、安広>。これらの研究結果を関連学会において報告する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度の研究計画に沿って以下の研究費の配分を予定している。 1、物品費としては、筋硬度計の導入に約30万円、唾液アミラーゼ活性の測定機器に約10万円、心拍数のモニター計に約10万円、マークシートの集計用ソフトのライセンス導入に約5万円を予定している。また、記録用VTRテープや測定記録用の専用紙、心拍測定用電極などの消耗品に約8万円を予定している。 2、人件費としてはダンスの指導者、実験補助のアルバイト、データ処理のアルバイトへの謝金の総計として約60万円を予定している。 3、その他として、被験者を30人と想定し、被験者用の飲料、通信費、データ送付費、交通費として約30万円を予定している。 以上の他に各学会での発表にかかわる費用として約5万円を予定している。
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Research Products
(3 results)