2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24500738
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Shiga University |
Principal Investigator |
平井 肇 滋賀大学, 教育学部, 教授 (70199032)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | スポーツ / 国際情報交換 / 台湾 / シンガポール / タイ / オーストラリア / ニュージーランド / フィジー |
Research Abstract |
各サブテーマに関わって、基礎的資料の収集・解読やスポーツ団体関係者やスポーツ研究者との面接・協議を通して仮説を構築するための期間と位置づけて、以下の作業を行った。 1. 「国家代表」の意義と役割の時代的変遷と、競技種目と地域的特徴:東南アジアのSEA Games(Southeast Asian Games)参加国と「国家代表」の関係について、文献の収集と解読を行った。また、台湾では台湾師範大学、シンガポールではSingapore Sports SchoolとNanyang Technological University、タイではChulalongkorn UniversityとChiang Mai Universityを訪問して、スポーツの発展と現状についてスポーツ団体関係者や研究者と情報・意見交換を行い、今後の研究の方向性について助言を受けた。 2. 選手や指導者の視点から見た「国家代表」の意義と役割:主として南太平洋のラグビー選手の国境を越えた移動と国籍変更の問題に関して、文献の収集と解読を行った。また、ニュージーランドではUniversity of Otagoの研究者、ラグビーのプロリーグのOtago Highlandersや、ローカルクラブでプレーする南太平洋諸国にルーツを持つ選手に彼らのバックグランドなどについてインタビュー調査を行った。 3. マスメディアや商業資本などのスポーツを取り巻く環境要因と「国家代表」の関係:英連邦諸国のラグビータイのサッカーと「国家代表」の関係、ボーダレス化するマスメディアや商業資本が「国家代表」に及ぼす影響について、University of OtagoとChulalongkorn Universityの研究者と情報・意見交換を行い、今後の研究の方向性について助言を受けた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
グローバル化の時代における「国家代表(チーム・選手)」像の現実とそれを取り巻く社会文化的要因の関係について、今後の「国家代表(チーム・選手)」像を探る目的で、以下の通り四つのサブテーマを設けて研究を行うこととした。 1. 「国家代表」の意義と役割の時代的変遷と、競技種目と地域的特徴:関連する文献の収集は、英語による研究成果が少ないことや現地で資料を見つけ購入ないしは複写をするのに予想以上の時間がかかり、思うように進まなかった。現地調査は、それぞれの国でスポーツの歴史学者や社会学者、さらには実務者へのインタビューができて基本的は情報を収集することができた。 2. 選手や指導者の視点から見た「国家代表」の意義と役割:当初計画していたフィジーでの現地調査は実施できなかったが、ニュージーランドを訪問して、このテーマで研究している研究者から貴重なアドバイスをもらうことができた。また、移民として定住している南太平洋出身のラグビー選手へのインタビューを通してテーマに関するより詳しい知識を得ることができた。当初計画していたアフリカの陸上競技長距離走ランナーに関する調査は、本年度は時間的制約のため着手できなかった。 3. マスメディアや商業資本などのスポーツを取り巻く環境要因と「国家代表」の関係:このテーマで研究している台湾の研究者からは野球について、ニュージーランドの研究者からはラグビーについて、貴重なアドバイスをもらうことができた。当初計画していたオーストラリアのサッカーにおける移民の問題については、本年度は時間的制約のため着手できなかった。 4. 一般市民やファン等のスポーツを取り巻く環境要因と「国家代表」の関係 :このテーマに関しては、ある程度、上の1.2.3.の調査結果をもとに進めて行くことになるので、今年度は特に取り上げなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度の現地調査で構築したスポーツ団体関係者や研究者とのネットワークを最大限に活用し、調査内容を質量ともに充実させてゆく。 1. 前年度に引き続き、英連邦諸国内におけるラグビーの国家代表と東南アジア諸国の地域総合スポーツ競技会における国家代表を取り上げ、「国家代表」の歴史的経緯と現状について分析・検討する。具体的には、フィジー・南太平洋大学で開催されるFiji Rugby Centenary Conferenceに参加し、現地のラグビー協会関係者や研究者と情報交換を行う。また、前年度に引き続き、ニュージーランド・オタゴ大学の研究者からアドバイスを受け、ニュージーランドでプレイする南太平洋にルーツを持つラグビー選手について調査を行う。東南アジア諸国関係では、タイ・チュラロンコーン大学の研究者からアドバイスを受け、SEA Gamesについて調査を行い、地域の国際関係上のこの大会の意義について分析・考察を行う。 2. ニュージーランドにおけるラグビーとオーストラリアにおけるサッカーを通して、地元メディアやスポンサーと統括団体や所属選手との関係について、現地調査を通して明らかにして行く。具体的には、ニュージーランド・オタゴ大学の研究者からアドバイスを受け、ニュージーランドにおけるラグビーと商業主義化・プロ化、移民社会との関係について分析・考察を行う。オーストラリアにおけるサッカーの社会的・文化的役割については、オーストラリア・ビクトリア大学の研究者からアドバイスを受け、関係者へのインタビュー調査を行い、分析・考察を行う。 3. 海外からの選手を受け入れる側の競技関係者やファンに関しては、次年度にシンガポール、オーストラリアで調査を実施する計画である.そのためのインタビュー調査やアンケート調査に向けて、現地の研究者の協力を得ながら調査項目の絞り込みを行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
各サブテーマに関わって構築した仮説に基づき、調査を実施する。 A) 前年度に引き続き、主として英連邦諸国におけるラグビーの国家代表と東南アジア諸国の地域総合スポーツ競技会における国家代表を比較することで、「国家代表」の歴史的経緯と現状について分析・検討する。2013年7月にフィジー・南太平洋大学で開催されるFiji Rugby Centenary Conefence に参加し、現地のラグビー関係者や研究者と情報・意見交換を行う。2013年9月にタイを訪問し、チュラロンコーン大学およびチェンマイ大学の研究者の協力を得ながら、この地域におけるSEA Gamesの社会政治的意味について調査をする。 B) 南太平洋の諸国からニュージーランドやオーストラリア、日本などに移住・国籍変更したラグビー選手の実態と背景について、現地調査を通して明らかにして行く。2013年9月にオーストラリアを訪問し、ビクトリア大学の研究者の協力を得ながら、現地のサッカーと移民社会との関係について調査をする。2014年2月にニュージーランドを訪問し、オタゴ大学の研究者の協力を得ながら、現地のラグビーと移民社会との関係について調査をする。 C) 移民選手を受け入れる側の社会において、国籍変更した選手やナショナルチームに対する反応について調査を行う。2014年2月にニュージーランドを訪問し、オタゴ大学の研究者の協力を得ながら、現地のスポーツと移民社会との関係について、聞き取り調査を中心に明らかにして行く。2014年2月にシンガポールを訪問し、ナンヤン工科大学の研究者の協力を得ながら、現地のスポーツと移民社会との関係について、聞き取り調査を中心に明らかにして行く。
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