2013 Fiscal Year Research-status Report
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24500762
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
松岡 宏高 早稲田大学, スポーツ科学学術院, 准教授 (10367914)
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Keywords | spectator / professional sport / hometown / social impact / benefit |
Research Abstract |
見るスポーツの社会的価値を明らかにする研究の2年目の本年度は、主に次の2つのことに取り組んだ。 まず、昨年度に行ったプロスポーツ観戦者を対象にした質問紙調査のデータを再度分析し、ヨーロッパスポーツマネジメント学会で口頭発表を行った。研究の目的は、観戦前の期待と観戦後の評価の比較分析から、スポーツ観戦によって得られるベネフィットの価値を確認することであった。その結果、観戦対象であるゲームそのものにかかわるベネフィットについては期待通りの価値が得られていたが、「社交」および「日常からの逃避」というゲームに直接関与しない一般的な余暇活動のベネフィットについては、観戦者の期待以上の価値が得られていることが確認された。 次に、見るスポーツを提供するプロスポーツ組織の地域における価値を測定するために、新しくプロスポーツ組織が誕生した地域の住民を対象としたインターネット調査の実施に取り組んだ。これは、新しくプロスポーツ組織が誕生したことによる価値を時系列的に測定し、分析する計画であり、本年度実施の調査はその変化が想定される事前の調査に相当する。測定尺度設定のために、Lee et al. (2012)による「スポーツの社会的影響」を測定する尺度などを検討し、翻訳した。調査対象はこれまでに主要なプロスポーツ組織が存在しておらず、新たにJクラブ(J2またはJ3)が誕生した地域の住民であり、1,878部の有効な回答が得られた。測定尺度を検討した結果、スポーツの社会的影響を構成する4つの概念の尺度の信頼性係数は.85から.89を示した。内部一貫性が確認できたため、次年度行う事後調査においてもこれらの測定項目を用いることが可能であることが確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度に質問紙調査で収集したスポーツ観戦者のデータ分析を進め、観戦者が見るスポーツから獲得する価値についての検討をある程度終え、本研究プロジェクトの目的の一部は果たすことができた。また、見るスポーツを提供するプロスポーツ組織の価値を地域住民の意識から分析する計画については、本年度中に1回目の調査を終え、十分なサンプル数を確保することができた。また、測定尺度についての検討も十分に行うことができ、尺度の信頼性についても確認ができている。以上より、おおむね順調に研究計画が進んでいると評価する。
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Strategy for Future Research Activity |
既に記しているように、実際に試合会場でスポーツを見る観戦者の意識から検討した見るスポーツの価値はある程度分析、検討を終えることができた。次年度においては、本年度の後半に実施した新たにプロスポーツ組織が誕生した地域の住民に対する2回目のインターネット調査を実施し、プロスポーツクラブに対する評価などの変化から、見るスポーツの社会的価値を検討することが主な課題となる。最終的には総合的な検討を行い、本研究プロジェクトの成果をまとめ、当該研究領域における今後の研究課題についても提示する。さらには、プロスポーツクラブやチームを所有、あるいは今後所有する地方自治体、および観戦型スポーツイベントを誘致する自治体等の団体に対する「見るスポーツの社会的価値」を活用した事業の提案についても試みる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
調査委託費用が計画よりも少額であったため。 次年度の調査委託費用の一部に充当する。
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