2012 Fiscal Year Research-status Report
インパルス様運動後の回復時の換気調節におけるCO2の役割
Project/Area Number |
24500782
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
矢野 徳郎 北海道大学, 教育学研究科(研究院), 教授 (80200559)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | impulse exercise / ventilation / arterial CO2 pressure / feedback loop |
Research Abstract |
自転車エルゴメータを用いて、色々な運動強度(100, 200, 300および4000 watts)によるインパルス様運動後の肺換気量が動脈血CO2分圧にどの様に決定されているかを検討した。各運動は20秒間であった。ペダル回転数は80rpmであった。運動後は60分間の回復期をとった。安静時と回復時に血液イオンと血液ガスを測定した。肺換気量は安静時、運動時および回復時に測定した。血中カリュウムイオンはいずれの運動後においても安静時から有意な変化は認められなかった。血中乳酸値は安静時、約1mMであったのが、400wattsの運動後5分時には3.57mMへと有意に増加した。100と200wattsの運動後は血中乳酸値には有意な増加は認められなかった。全員の被験者において、300と400wattsからの回復時に、pHと肺換気量のあいだで、曲線的関係があった。100wattsの運動後には血液ガスに変化はなかったが、換気量は安静時より上昇した。これは、換気が液性因子以外の神経性因子によって、調節されていると考えられた。回復時の動脈血CO2分圧は減衰振動して、安静値に戻った。この減衰運動は運動強度が高いとその振幅が高かった。300と400wattssの肺換気量と動脈血CO2分圧との間で有意な相関関係が認められた。これらの結果から、肺換気量はpHのよって、亢進していたと考えられた。また、この亢進の行き過ぎを動脈血CO2分圧のフィードバック調節で適正化していると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究の目的は達成された。インパルス様負荷の運動強度が高くなるとpHは低くなるが、その低下度と換気の関係は一律ではなかった。この誤差は、動脈血CO2分圧のフードバックループの刺激の大きさの相違で説明できた。
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Strategy for Future Research Activity |
安静時の測定を終えた後400 watts で20秒間の運動を課する。運動は1回行う場合と、 400watts の運動を負荷間の休息(6分間)をとって、5回行う。6分間の休息をとるのは6分間で最大パワーが完全に回復し、疲労が残らないと考えられるからである3)。この後の換気動態と血液性状を比較検討する。Yano ら3)は1回負荷と5回の繰り返し負荷を行っている。ただし、負荷は最大努力で、10秒間であった。このときの1回負荷後と5回負荷後の換気動態が同一であることを発見した2)。しかし、乳酸は負荷を繰り返すと蓄積していくので、5回負荷のほうが1回負荷より高くなっている。このことから負荷後の換気動態はpH のみに関係するのではないことを示唆している。また、Peronnet ら4)もpH の変化は換気量の30%程度が影響されると報告している。したがって、pH 以外の因子が換気量に影響していると考えている。神経性因子は負荷量に関係していると考えられるので、両者の負荷モードでは同一の影響を与えると考えられる。したがって、K+やPaco2 などの液性因子が換気動態の相殺因子として作用していることが推察される。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
物品費(消耗品:おもに血液ガスのキット)と人件費(被験者謝金)に使う。
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Research Products
(1 results)