2013 Fiscal Year Research-status Report
海馬神経新生増進のための最適運動時間帯の決定と運動効果を修飾する栄養環境の解明
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24500794
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Research Institution | Prefectural University of Kumamoto |
Principal Investigator |
松本 直幸 熊本県立大学, 環境共生学部, 准教授 (00252726)
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Keywords | 神経新生 / 海馬 / 運動 / 栄養 |
Research Abstract |
高齢化が進む現代社会では医療費の高騰や介護の問題に関心が高まり、その解決のために、予防医学的見地から運動の有効性が広く認知されるようになってきた。近年、運動は認知機能低下を招く遠因となる高血圧やインスリン抵抗性の改善などに関与し、さらに神経新生を介して脳の健康に必須の関与をすることが明らかとなってきた。しかし、運動の最適条件や運動の効果を修飾する栄養状態などとの相互作用についての知見が圧倒的に不足している。本研究は海馬における神経新生を指標として、認知機能向上に最適な運動・栄養条件について検証することを目的として実施する。 実験動物としてWister系雄性ラットを用いることとし、今年度は、昨年度に引き続き生化学的手法の確立を大きなテーマとした。海馬での神経新生を定量するために、増殖している細胞で新たに合成されるDNAへ取り込まれるチミジンの類似物質であるBrdU(細胞周期S相のマーカー)を腹腔注射し、これを免疫組織化学的に検出することで海馬の新生細胞を同定することが可能である。飼育室環境に7日間順化させたラットに100mg/kgのBrdUを注入し、24時間後に4%パラホルムアルデヒドにて灌流固定後脳を摘出した。40μmの切片を作成し、先行研究を元にBrdUの免疫組織化学染色を試みているが、昨年度より改善されたとはいえ、まだ十分に安定した結果が得られていない。染色プロトコールの問題かあるいは手技の問題かについて引き続き検討を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
当初予定から遅れているのが現状であるが、本格的な免疫組織化学的手法による神経新生の定量化は私自身にとって新たなチャレンジであり、手法の確立や動物実験環境が整っているとは言い難い中でスタートしたこともあり、現在、ようやく動物飼育スペース、および生化学的実験の実施場所が確保できた。昨年度より、BrdUの免疫組織化学染色法による検出について検討を続けてきた。古典的に実施されてきたニッスル染色については、これまでにも経験があるため、ほぼ問題なく実施可能であるが、BrdUについては染色像の色の薄さやコンタミネーション等の問題が出ていたが、染色シークエンスの改良、抗体濃度の変更などを試み、昨年度からかなり改善できた。ようやく本実験に取りかかる条件が整いつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
免疫組織化学的手法については、これを主な研究手法とする研究者を訪ね、手技について教授頂いたことで、ほぼ確立しつつある。染色の基本的プロトコールはBrdU特異的ということではないので、生化学的手法の基本を早急にマスターすることが重要となると考えられ、この点は昨年度より大きく前進した。また問題点の一つは脳摘出時の脱血不十分にあることがはっきりしているので、この点はさらに試技を重ね早急に解決したい。これら手法的問題を解決しつつ、現在は予備実験として運動負荷実験も開始している。一刻も早く本実験に取りかかれるよう鋭意進めていく予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
試薬類の消耗品、および実験動物使用数が当初予定より少なかったことによる。 本実験における使用動物を増やすことを中心に対応する。
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Research Products
(7 results)