2012 Fiscal Year Research-status Report
介護労働者の生活環境とストレスの関連性に関する研究
Project/Area Number |
24500827
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
松浦 義昌 大阪府立大学, 地域連携研究機構, 准教授 (60173796)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
出村 慎一 金沢大学, 人間科学系, 教授 (20155485)
清水 教永 大阪府立大学, 地域連携研究機構, 教授 (30079123)
田中 良晴 大阪府立大学, 高等教育推進機構, 准教授 (60236651)
高根 雅啓 大阪府立大学, 高等教育推進機構, 准教授 (90285312)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 介護労働者 / 生理的ストレス / 生活環境 / s-IgA / α-amylase / 活性酸素 / 抗酸化力 |
Research Abstract |
介護労働者の生活環境とストレスの関連性を明らかにするために、平成24年度は、具体的に以下の2点について研究を行った。 1.介護労働者を雇用している34の事業所(大阪府、兵庫県、山口県、千葉県、長野県)に対し、介護労働者の生活環境とストレスに関する調査依頼を書面にて行った。その結果、27の事業所の協力が得られ、それら事業所の410名の介護労働者を対象に介護労働者の生活環境とストレスに関する調査を行った。 調査は、起床時刻や就寝時刻等の基本的な生活習慣10項目とストレスに関する7項目の計17項目から構成し、平成24年6月~11月にかけて行った。調査は、性別、年代別、労働環境別にストレスの有無について統計処理を行った。対象者の年代は、20代73名、30代109名、40代87名、50代86名、60代55名であった。性別では、男性が103名、女性が307名であった。年代別ストレスの有無は、50代と20代の間で有意差が認められた。性別及び労働環境別ストレスの有無では有意差は認められなかった。今後さらにサンプル数を増やし検討することとなった。 2.介護労働者と一般労働者を対象に健康調査、体力測定、唾液検査、活性酸素検査、抗酸化力検査を行った。健康調査は、健康度・生活習慣診断検査「(DIHAL.2)(株)トーヨーフィジカル」を行った。体力測定は、握力、背筋力、長座体前屈を行った。唾液は、一日8回(起床時、朝食後、昼食前、昼食後、15時、夕食前、夕食後、就寝時)採取した。唾液成分のs-IgAとα-amylase活性の分析(ELISA法)と活性酸素と抗酸化力測定「(株)ウイスマー社製FRAS4」を行い、生理的ストレスの指標とした。次年度以降、さらにサンプル数を増やし、検討することとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度の研究計画は、次の6点であった。1.介護労働者を雇用している介護事業者への協力依頼、2.介護労働者に対するインフォームドコンセントの実施、3.介護労働者の生活環境や生活習慣調査とストレス調査の実施と分析、4.介護労働者の1日の身体活動量測定の実施と分析、5.唾液採取による介護労働者の1日のストレス測定の実施、6.血液採取による介護労働者の酸化ストレス測定の実施。研究計画の1及び2は、大阪府、兵庫県、山口県、千葉県にある介護労働者の事業所に行き、研究の目的及び方法について詳細な説明を行い、書面にて承諾を受けた。承諾を受けた事業所の介護労働者410名に対して、生活環境とストレスに関する調査を行い回収した。山口県と千葉県の事業所には、調査全体の結果と事業所の結果を資料として郵送し、研究計画3を全うした。研究計画4は、介護労働者と一般労働者を対象に、研究に関する資料を作成し、詳細な説明を行い、インフォームドコンセントを受けた後、体力測定(握力、背筋力、長座体前屈)および健康度・生活習慣診断検査「(DIHAL.2)(株)トーヨーフィシカル」を行い、介護労働者の体力、健康度を測定した。研究計画5は、介護労働者と一般労働者を対象に1日8回(起床時、朝食後、昼食前、昼食後、15時、夕食前、夕食後、就寝時)唾液を採取し、ELISA法により分析した。研究計画6は、介護労働者と一般労働者を対象にFRAS4を用いて、活性酸素と抗酸化力の測定を行った。以上のように、申請時の研究計画は、おおむね達成できたと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策は、昨年度に得られた調査結果をさらに細かく分析する。その統計処理に関し、大学院生を雇用する予定である。また、唾液を分析するための様々な試薬やチューブ等を購入し、分析を行う。唾液の分析は、唾液中のs-IgA(分泌型免疫グロブリンA)、総タンパク質量、α-amylase活性とする。唾液中のs-IgA濃度は、The Human IgA ELISA Quantitation Kit (Bethyl/Funakoshi, E80-102)のマニュアルおよび酒井らの方法に従い、サンドイッチ酵素免疫測定法により測定する。総タンパク質濃度は、Modified Lowry Protein Assay Kit (Thermo Scientific, #23240)の方法に従い測定する。これらで測定したs-IgA濃度と総蛋白質濃度を、次式に当てはめ唾液蛋白質中のs-IgAの割合を求める。唾液蛋白質中のs-IgAの割合(%)=[s-IgA濃度/総タンパク質濃度]×100。α-amylase活性は、Salimetric社製、alpha-amylase Salivary Assay kitの測定マニュアルに従い分析を行う。調査結果の詳細及び唾液分析の結果は、次年度行われる学会にて適宜発表する。学会発表は、4回を予定している。特に次年度の日本教育医学会は韓国で行われるため、海外出張を予定している。また、昨年度に引き続き、唾液の採取及び活性酸素、抗酸化力測定「(株)ウイスマー社製FRAS4」や健康度・生活習慣診断検査「(DIHAL.2)(株)トーヨーフィシカル」、体力測定を行い、サンプル数の拡大を推進していく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度は、介護労働者と一般労働者の唾液の採取及び分析を主としており、そのための予算として、863,000円を計上している。その予算の内訳は、唾液を分析するためのキット(Salivary α-amylase Assay kit, ELA S-IgA Kit)と1.5mlのサンプリングチューブ及び遠心管などのプラスティック消耗品であり、いずれも唾液を分析するために必要な試薬および使い捨てのプラスティック消耗品である。Salivary α-amylase Assay kitと ELA S-IgA Kitの試薬は、ともに7セットを購入する予定で申請しているが、平成25年度の配分予算1,400,000円を鑑み、3セットから5セットの範囲の購入を考えている。また、唾液分析の実験補助及び調査データの統計解析補助の人件費として354,000円を計上しているが、平成25年度の配分予算を鑑み、200,000円程度の範囲の予算執行を考えている。さらに、国内で行われる学会活動旅費及び研究分担者との研究打ち合わせ旅費として、62,000円を計上し、国外で行われる学会旅費として、500,000円を計上しているが、平成25年度の配分予算から、400,000円程度の予算執行を考えている。以上の範囲で、予算執行することにより、平成25年度配分予算範囲内で、平成25年度の研究計画を全うすることができるものと考えている。
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