2013 Fiscal Year Research-status Report
青少年の生活習慣病予防を目的とした行動科学に基づく多職種連携教育プログラムの確立
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24500837
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Research Institution | Matsumoto University |
Principal Investigator |
広田 直子 松本大学, 健康科学研究科, 教授 (60218857)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
日高 宏哉 信州大学, 医学部, 准教授 (10362138)
本郷 実 信州大学, 医学部, 教授 (40209317)
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Keywords | 生活習慣病予防 / 栄養教育 / 多職種連携 / 青少年 / 身体活動量 / 食事内容多様性 |
Research Abstract |
平成24年度に引き続き、松本市街地1校と長野県内農村地域の中学校2校の生徒371人を対象とし、中学生向きの質問紙調査法であるBDHQ15yを用いた栄養素等摂取状況調査と先行研究に基づいて新しく開発した生活習慣質問票調査を、身体計測と血液等の生化学検査と共に実施した。うち、48名については活動量計による測定も実施した。栄養素等摂取状況調査と生活習慣質問票調査については解析前チェックがほぼ終了した。身体計測値および血液等の生化学検査値についてはデータチェック作業を継続中であるが、今後、それらのデータの突合作業を行う。 データ解析にあたり、最近、研究が進められている食事内容多様性や食事パターンに着目した分析を進めたいと考え、既存の調査データを用いて小学生と中学生の食事内容多様性について検討した。朝食内容多様性スコアの群別比較で、小学生では生活習慣や食意識のうち個食の状況、食事の手伝い、残食に対する考え方等の比率が有意に異なり、スコア高群で良好な状況と判断されたが、中学生で有意差があったのはダイエットの状況のみであった。1日の食物摂取状況で、スコア低群が高群よりも有意に低値であった項目数は、栄養素等、食品群とも、小学生が中学生よりも多く、中学生では、朝食のみではなく1日の食事内容にまで幅を広げた栄養教育が必要であることが確認できた。10日分の活動量調査結果では、各自の調査期間の平均値の個人間変動係数14.0%、調査日の集団平均値の日間変動係数10.9%であり、個人による差が大きいことがわかった。 医療系職種(栄養学、医学、検査学、保健学、看護学、運動学など)がそれぞれの立場から、ターゲットとなる生活習慣を明確にして教育プログラムを検討するという本研究の視点で考えると、活動量の個人差やそれに合わせた食事チェックを組み入れた多職種連携によるセルフモニタリングノートの必要性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
欧米等で実施されている先行研究を参考にして、日本の中学生に特有の食事内容多様性や食事パターンに着目して分析を進める必要があると考え、因子分析などを念頭において、調査データ数を増やすことにした。そのため、25年度にも生活習慣調査や栄養素等摂取状況等の調査を引き続いて実施した。また、身体計測値および血液等の生化学検査値の管理は研究分担者の大学で実施しているが、そのデータチェック作業に手間取ったため、各調査データの突合作業が遅れてしまった。25年度に対象者の一部について実施した活動量計による消費エネルギーと合わせ、突合作業が終了したデータについての解析作業は26年度に実施することとした。 セルフモニタリングノートについても食事内容多様性や食事パターンに着目した独自性のあるものをめざすこととしたため、それに関する検証は26年度に持ち越しとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに収集したデータと26年度に実施する調査のデータを合わせ、生活習慣や栄養素摂取状況と、生活習慣病に関連する身体計測値および血液検査データとの関連について、日本の中学生に特有の食事内容多様性や食事パターンに着目し、因子分析などの手法を用いて解析を進める。そのデータと、平成24年度に各専門職(栄養学、医学、検査学、保健学、看護学、運動学など)を対象として進めた質的研究結果とを合わせて、セルフモニタリングノートの作成を進め、その有効性を検証する。 また、2次元フードモデルを用いた汎用性の高い栄養教育教材の作成については、PC上で実物大写真を用いて栄養アセスメントおよび栄養教育を実施できる機器を整えたことから、これを用い、学校給食を教材とした栄養教育手法を検討し、ピア・エデュケーションによる子ども主体型の教育プログラムの有効性の検証を進める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本研究がめざす教育プログラムの作成に関して、日本の中学生に特有の食事内容多様性や食事パターンに着目して解析作業を行うという方法に切り替えたことが主たる要因である。 そのような解析方法を実施するに当たって、データ数を増やす必要が生じ、25年度の身体計測値および血液検査データのチェック作業の遅れとともに、各調査データの突合作業を次年度に実施することに変更し、その後、セルフモニタリングシートを作成することにした。 従って、教育プログラムの開発、すなわち、多職種連携によるセルフモニタリングノートの作成とその検証、2次元フードモデルを用いた教育プログラムの実施と有効性の検証に使用する予定だった経費の支出が次年度に持ち越しとなった。 26年度は、これまでに収集したデータに加えて26年度6月までに実施する中学校における調査でデータ数を増やす。その解析作業に伴う経費として25年度の残額を使用する。それに引き続いて、生活習慣や栄養素摂取状況と生活習慣病に関連する身体計測値および血液検査データとの関連について、日本の中学生に特有の食事内容多様性や食事パターンに着目し、因子分析などの手法を用いて解析する。その結果を踏まえてセルフモニタリングノートを8月中に作成する。 26年度の後半にその有効性に関する検証研究に取り組む。 2次元フードモデルを用いた汎用性の高い栄養教育教材の作成については、26年度6月までに行う調査データの収集と並行して進めることとし、セルフモニタリングノートの完成に合わせて、実践現場での検証に取り組み、研究成果をまとめる予定である。
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