2013 Fiscal Year Research-status Report
運動療法が高齢者の心筋保護効果を示すメカニズムについての研究
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24500850
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
佐藤 重仁 浜松医科大学, 医学部, 教授 (30143176)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三村 真一郎 浜松医科大学, 医学部附属病院, 助教 (30625471)
望月 利昭 浜松医科大学, 医学部附属病院, 講師 (40293641)
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Keywords | 孤立心筋モデル / 運動療法 / 虚血・再灌流 |
Research Abstract |
中高齢のラットで低い強度の運動療法が、虚血前心機能、虚血再灌流後の心機能を改善するか、また虚血再灌流後の心筋梗塞面積に影響するか否かを検討した。 【方法】retired S-D rat 20匹 (体重 480-637g)を運動群(n=10)、対照群(n=10)に分け、運動群では、1日60分、週6日、5週間の運動療法を行った。第1週、第2週、および3-5週の速度はそれぞれ10m/分、15m/分、20m/分で開始し、電撃刺激で強制的に走行させた。運動療法開始前後の体重、60分間の走行距離を記録した。5週後、ランゲンドルフ装置を用いた孤立心筋モデルを作成し、30分間の全虚血後に、90分間の再灌流を行った。虚血直前、および再灌流終了時の左室収縮気圧、左室dp/dt max, 左心室の心筋梗塞面積を測定し両群間で比較した。 【結果】運動群の平均走行距離は、第1週末591m, 第2週末900mと順調に増加したが、3週以降は1100mで頭打ちとなった。体重は運動群では10.8±30.9g減少したが、対照群は57.4±32.3g (mean±SD) 増加した。虚血直前の左室収縮期圧は80.8±9.4 mmHg vs. 72.0±11.3 mmHg, dp/dt max は2228±479 mmHg/s vs. 1951±287 mmHg/sと有意差がなかった。同様に再灌流終了時の左室収縮気圧、左室dp/dt maxにも差がなかった。左心室の心筋梗塞面積比も33.0±20.1% vs. 28.0±15.6%と減少傾向にはあったが有意差はなかった。 【考察】低い強度の運動療法で体重減少効果が明らかとなったが、虚血前の心機能や虚血後の心機能・心筋梗塞面積に対する作用は明確にできなかった。今回の運動負荷モデルで体重減少効果は明らかで、今後高齢ラットと運動負荷の研究を行う上で参考になると思われる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(理由) ラットの強制運動をプログラム通りに行うのは世界で初めての試みである。 第1週:傾斜 10度、速度 10m/分 60分、第2週:傾斜10度、速度 15m/分 60分、第3、4週:傾斜10度、速度 20m/分 60分 週6日 のように標準となるプログラムが完成した。 (結果) 運動群の平均走行距離は、第1週末591m, 第2週末900mと順調に増加したが、3週以降は1100mで頭打ちとなった。体重は運動群では10.8±30.9g減少したが、対照群は57.4±32.3g (mean±SD) 増加した。虚血直前の左室収縮期圧は80.8±9.4 mmHg vs. 72.0±11.3 mmHg, dp/dt max は2228±479 mmHg/s vs. 1951±287 mmHg/sと有意差がなかった。同様に再灌流終了時の左室収縮気圧、左室dp/dt maxにも差がなかった。左心室の心筋梗塞面積比も33.0±20.1% vs. 28.0±15.6%と減少傾向にはあったが有意差はなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
(今後の推進方策) 最終年度である。購入した器材(APGハートレータ)を用いてフィールドでの研究を推進する。 具体的には週末に行われるシニア(60歳以上)のアスリートを対象に、運動前後の血圧、心拍数の変化から自律神経系の変化を調べる。同年代の非アスリートに運動負荷を加えたときの変化と比較する。 (次年度の研究費の使用計画) 次年度はフィールドでのデータ収集と、論文作成に充当している。第14回日本抗加齢学会で発表を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究が予定より若干順調に終了したため、消耗品購入が少なくて済んだ。 翌年度使用する”ハートレータ”の消耗品(センサー、用紙など)、および専用プリンター用インクなどに使用する。
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