2012 Fiscal Year Research-status Report
後期高齢者への運動支援が健康状態と関節痛へ及ぼす効果について
Project/Area Number |
24500861
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Chiba Prefectural University of Health Sciences |
Principal Investigator |
島田 美恵子 千葉県立保健医療大学, 健康科学部, 教授 (70413036)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 運動療法 / 後期高齢者 / 痛み / 身体活動量 |
Research Abstract |
本研究の目的は、生活形態(施設入居、在宅)の異なる後期高齢者を対象に、5年にわたる運動支援を実施し、健康状態と関節痛に及ぼす影響を検討することである。初年度は対象者を選定し、積極的な運動支援は施さずに1年間の健康状態の変化を調査した。健康状態は、身体計測、血液生化学検査、基礎代謝・運動代謝および姿勢状態を含めた体力測定、食事調査(DHQbox)、健康関連評価指標(SF-36)、認知機能(MMSE)で、また関節痛は問診(JKOM、JLEQ)で評価した。本年度の運動支援は、身体活動量計(スズケン社製ライフコーダ)の貸与と隔週30分間程度のストレッチ集団指導のみとした。在宅自立高齢者は、都市部高層住宅に入居する29名(男性12名 平均年齢72.0±5.4歳、女性19名74.3±5.1歳 うち後期高齢者8名)で、3名を除き降圧剤などを服薬していた。SF-36による「過去1年間の健康状態の変化」で「良くなった・変わらない」と答えた22名と「悪くなった」と答えた7名で2群別し健康状態を比較すると、年齢(72.3±4.8歳vs76.8±5.6歳)、膝の痛み(4.4±4.0点vs14.3±22.6点:痛みなしが0点で100点満点)、1日あたりの歩数(9278±3940歩vs6020±2490歩)、血中アルブミン(4.5±0.3mg/dl vs4.2±0.1mg/dl)において有意な差が認められた。施設入居対象者は、問診による日常生活動作評価と握力測定のみを実施した。対象者16名(男性5名75.6±6.7歳 女性11名85.3±7.7歳)の握力は、男性20.4±4.5kg、女性9.3±5.1kgであり(座位で測定)、在宅自立高齢者の男性36.0±7.8kg、女性22.8±3.3kgと比較して有意に低かった。次年度以降は個別指導を追加し、本年度測定値を初期値とした年間の変化を検討する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
協力いただける施設の選定と、協力いただける調査内容の調節に時間を要し、施設入居高齢者については、日常生活動作遂行能力の問診調査と握力測定のみとなってしまった。平成25年2月現在、施設入居高齢者の家族にも同意をいただいているので、今後の研究実施は滞りないと推測される。
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Strategy for Future Research Activity |
在宅自立高齢者は、後期高齢者で一般公募しても、前期高齢者の参加要望が多い(5年後には後期高齢者となる場合もあるが)。集団運動指導では、異なる年代が集まっていた方がグループダイナミクスが顕著であった。在宅自立高齢者群は、当初の計画では後期高齢者20名の予定であったが、前期高齢者の参加希望も受け付け、対象者数を増やす。解析にあたり年齢調整を試みる。 施設入居高齢者の基本調査を、安全対策を万全な状態にして早急に実施する。認知機能の低下が疑われる対象者については、スタッフおよび専門家の助言・協力をいただきつつ、適切な指導と評価に尽力する。 初年度を終えて、いよいよ運動支援の効果を本格的に検証する。運動支援は個別指導を取り入れる。平成25年3月には、厚生労働省より「健康づくりのための身体活動基準」も発表された。これら先行研究の文献検索および事例発表の情報を多方面から収集し、本研究の科学的根拠を蓄積していく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
初年度と同様に、血液生化学調査、食事調査、基礎代謝・運動代謝実施のための消耗品・検者補助の報償費等、経時変化を追う基本的なデータを取得するための調査費用が必要である。 初年度、調査補助者を報償費で申請したが、次年度はデータ分析補助者を含め、定期的に研究補助に携わる人材を増やし(施設入居高齢者を指導する理学療法士および作業療法士)、大幅に賃金を計上する予定である。また、初年度は簡易食事調査としたが、得られる情報が限られるため、次年度は簡易食事調査に加え、より詳細な食事調査(聞き取り式)を計画している(人件費等がさらに加算される)。
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