2015 Fiscal Year Annual Research Report
生活習慣病の病勢や発症の危険性を超音波の新技術により画像的・定量的に評価する試み
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24500866
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Research Institution | Kyorin University |
Principal Investigator |
岸野 智則 杏林大学, 保健学部, 教授 (20343478)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡邊 卓 杏林大学, 医学部, 教授 (00191768)
大西 宏明 杏林大学, 医学部, 教授 (80291326)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 生活習慣病 / 脂肪組織 / 脂肪厚 / 脂肪酸組成 / 超音波 |
Outline of Annual Research Achievements |
【背景・目的】脂肪組織は、生活習慣病の発症に関与する様々な生理活性物質(アディポカイン)を分泌する。脂肪酸もその一つであり、生活習慣病で組成が変化する。これまでに、超音波で観察した腹部脂肪厚や、生活習慣病に合併する脂肪肝の肝障害が、血中脂肪酸組成と密接に関連することを見出している。本研究は、非侵襲的な画像検査である超音波を用いて、生活習慣病の病勢を定量的に評価することを目的とした。 【方法・結果】(1)-1. 基礎検討として、血中脂肪酸組成変化が生活習慣病の病勢を反映する指標になることを明らかにし、(1)-2. 超音波で計測した腹部内臓脂肪厚が病勢と最も相関することも明らかにした。(1)-3. これを基に、超音波の新手法virtual touch tissue quantification (VTTQ)法を用いて、腹部内臓脂肪や肝臓の剪断弾性波速度(shear wave velocity, Vs値)を計測し、脂肪酸組成変化を含む病勢の指標と密接に相関することを明らかにした。一方、(2)-1. 心臓周囲の脂肪厚を超音波で計測したところ、心外膜下脂肪が初期の心収縮能障害と相関することが明らかになった。しかし、(2)-2. もう一つの脂肪組織である心膜外脂肪は、初期の心機能障害と関連しなかった。更に、(2)-3. 初期心収縮能障害と相関する心外膜下脂肪であるが、脂肪酸組成など病勢の指標とは相関性を認めなった。 【結語】腹部内臓脂肪や肝臓のVs値を計測することで、非侵襲的な画像検査である超音波で、生活習慣病の病勢を定量的に把握することができた。一方、心外膜下脂肪厚を超音波で計測すれば心機能障害を予測できることが示唆されたが、生活習慣病の病勢とは関連しない脂肪組織の直接的影響が考えられ、生活習慣病およびその関連疾患における今後の研究に有意義な知見が得られた。
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Research Products
(2 results)