2012 Fiscal Year Research-status Report
摂食過程に対応したテクスチャー用語体系の構築と動的官能評価への応用
Project/Area Number |
24500963
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構 |
Principal Investigator |
早川 文代 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 食品総合研究所食品機能研究領域, 主任研究員 (00282905)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | テクスチャー / 食品 / 官能評価 / 用語 |
Research Abstract |
食品のテクスチャーは、ヒトが口に入れ、咀嚼し、嚥下する一連の摂食過程で大きく変化するため、テクスチャー評価は摂食過程と関連づけて行う必要がある。本課題では、すでに有している日本語テクスチャー用語445語および各用語の描写対象食物名のリストを利用し、摂食過程に時系列的に対応したテクスチャー用語体系を構築し、官能評価に応用することを目的とした。食物の形態や物性によって摂食時のヒトの動作はさまざまに異なるため、今年度は、テクスチャー用語体系の骨格となるヒトの摂食過程の動作の整理を試みた。 (1) 摂食過程のパターン分類;935品目の食物名のリストから160品目を代表食物として選定した。これを参照しながら専門家3名が討議を行い、「歯で咀嚼」「舌でつぶす」等の動作を整理した。その結果、摂食過程を、口に入れる前と入れてからの2段階に大別し、また、口に入れてからの摂食過程は3パターン(歯による咀嚼が必要/舌と口蓋で処理/口腔内処理せずに嚥下)に分類することとした。さらに、各パターンで口に入れてからの摂食過程は3から6段階に整理した。 (2) パターン分類の検証と各パターンの代表的食物の選定;食物160品目について (1)で分類した3パターンのいずれで摂食するかを訓練パネル(18名)に複数回答形式で調査した。いずれにも該当しない食物名はなくパターン分類の妥当性が確認された。また、各パターンについて代表的な食物名を選定することができた。 (3)用語とISOのテクスチャー3特性との関係;25年度計画であったテクスチャー研究者への質問紙調査と解析を実施し、全テクスチャー用語がISOのテクスチャー特性(力学的特性/幾何学的特性/その他の特性)のいずれを表すかを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
交付申請において、24年度研究実施計画では、ヒトの摂食過程を整理することを目的とした。上記研究実績の概要のとおり、ほぼ24年度計画通り研究を実施し、ヒトの摂食過程を討議によって整理し、食物名を用いた質問紙調査で検証することができた。さらに、パターン分類した摂食過程ごとに、代表的な食物名を設定した。また、25年度計画の一部であったテクスチャー用語とISOのテクスチャー3特性性との関係について、計画を前倒しして実施した。以上より、研究計画は当初の計画以上に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
25年度は、テクスチャー用語を摂食過程のパターンごとに摂食段階に応じて時系列に整理する。そのために、テクスチャー官能評価に十分な経験のある訓練パネルを回答者として質問紙調査を実施し、データを得る予定である。質問紙調査は量が多く回答者の負担が大きいことが予想されるため、予備評価を行って、質問票を数十に分けるなど、調査設計を工夫して実施する。また、交付申請時に計画していた、実際の食物を試料とした官能評価による用語の時系列的な整理の検証は、必要に応じての実施とする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
支払請求書における金額1,400,000円を、以下の通りに執行する予定である。 ・研究補助および事務補助人件費として900,000円 ・調査対象者謝金として300,000円 ・消耗品(事務用品、官能評価用試料・食器類、資料・書籍等)として200,000円
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