2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24501001
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Niigata University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
蘆田 一郎 新潟医療福祉大学, 健康科学部, 講師 (10323958)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 眼瞬 / 味応答 / 基本味 / 電気味 / 健常成人 |
Research Abstract |
研究代表者は、食事に伴うヒトの様々な運動や反応に興味を持ち、研究をおこなってきたが、これまでの研究により、特に味刺激が眼瞬(まばたき)応答を引き起こすことに気づいた。眼瞬は、一般には光・音・触圧ないし痛みに対する防衛反応として知られ、味刺激に対する応答としての報告は無い。それにもかかわらず、代表者らが味刺激後の眼瞬応答を定量的に解析したところ、基本味溶液(とくに高濃度の酸味および苦味)による刺激は有意に多数の眼瞬を誘発し、また、より速い応答が得られると分かった。すなわち、この味応答としての眼瞬は過去に報告のない新知見である。これらの先行結果を受けて、本課題研究は、より複雑な混合味溶液、半固形・固形の食品、および電気味による眼瞬味応答を調べるために計画された。 これまで、代表者は大量の眼瞬データ(1被験者が1回の試行につき10数回の眼瞬応答を示す)について、眼瞬回数や各眼瞬の時間特性(刺激時点から第1眼瞬までの潜時やその持続時間)を動画データをもとに手作業で計測してきた。そこで、当該年度では、まず、眼瞬を自動的に判別し、かつ各眼瞬の時間特性を自動的に記録する「眼瞬記録装置」の開発に着手した。その結果、企業の協力も得ながら、秒間60フレームの赤外線カメラで撮影した目および目蓋の動画より、あらかじめ登録した「開眼」状態の画像とのパタン・マッチング技法に基づいて閉眼(眼瞬)をリアルタイムで計測可能な眼瞬記録装置を開発した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
昨年度に提出した交付申請書には、「初年度にはまず、眼瞬反応記録装置のセットアップが重要となる」と記したが、本年度、開発業者との検討を繰り返し、同記録装置の確立に成功した点については順当であった。しかしながら、同申請書にあった「若年成人男女20名」によるデータ採取については達成しておらず、数名の試験的な試行に留まったため、「やや遅れている」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度には、平成24年度に未了となった「味溶液刺激による眼瞬および関連筋ならびに顔面表情筋」の応答を約20名の被験者を募って実施するとともに、当初平成25年に計画していた通り、半固形ないし固形食品(寒天ゼリーやグミ・キャンディを想定)による実験をおこない、味刺激のみならず、食品テクスチャによる眼瞬応答の修飾を調べる。あわせて、刺激時点の特定に有効な電気味刺激による実験をおこない、眼瞬応答をもたらす神経回路の特定を試みる。 計画の最終年度となる平成26年度においては、被験食品をさらに一般的な市販食品として、種々の複合味およびテクスチャの混合作用が眼瞬応答に及ぼす影響の模型化を試みる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今後、研究費の主要な用途は「実験被験者への謝礼」となる。また、実験を遂行する上で必要な試薬等の消耗品費・実験機器の改装費や、成果をまとめるのに必要な資料費・印刷費・学会出張の旅費等に使用する計画である。
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Research Products
(4 results)