2015 Fiscal Year Research-status Report
発展型実習授業に適する高機能化流星電波観測教材の開発
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24501041
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
吉田 英人 東京大学, 理学(系)研究科(研究院), 技術専門員 (30376553)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 流星電波観測 / 多地点電波観測 / 前方散乱レーダー / 電波干渉計 / 超高層大気 / GPS / 実習教材 / フィールドワーク |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、送信点とは別の地域に多数の受信地点を設置し(多地点観測法)、流星が流れた飛跡に沿って生じるプラズマに反射した電波(以下流星エコー)を受信して流星実経路を求め、その力学運動より流星の諸パラメータを見積もる教材の開発を目指している。また、広報普及用の教材も開発している。 本研究の主目的の一つに流星電波干渉計の開発がある。これを観測点の少なくとも1地点に配置し流星の飛来方向を検出し、他の各観測点では流星エコーの到達時間差と送信点-流星-受信点の距離データを取得して、これらを組み合わせて高精度の流星実経路を求める。 本年度は26年度から開発しているデジタルダイレクトサンプリング方式流星電波干渉計のハードウエアならびデータ収集ソフトウエアの開発を主に行った。試験基準信号を入力して動作試験を行ったところ平均5us毎にアクセスできていることが確認できた。このことから25年式のアナログ式と同じサンプリングレートである200KSPSでデータ収集できるところまで完成し、目標である100MSPSのサンプリングレートを目指す見込みがついた。 開発した教材の一部は、実際に実習授業で使用し評価を行った。各観測点の流星エコー到達時間差から流星飛跡を求める方法は確実に流星の諸パラメータを見積もることができることを確認した。距離データを取得する方法は、いくつかの流星で成功し、その値は推測される流星位置から計算されるものと矛盾が無いことが確認できた。 一方で、広報普及用の教材の開発も進めた。3波のアマチュア無線ビーコン波を用いることにより、一つの観測点でも流星の飛来方向が推定できる方法を発案し、これをすでに確立済みの流星エコー到達時間差から流星飛跡を求める方法の結果と比較して矛盾の無いことを確認することによりこの観測方法が確立し、その成果発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は改良したデジタルダイレクトサンプリング方式流星電波干渉計を用い、本観測を開始する予定であったが、ハードならびデータ収集ソフトにいくつかの問題が生じ、その解決に時間を要したため、改良した観測実機の十分な性能評価ができなかった。加えてデジタル式流星電波干渉計の改良基礎データ取得用のアナログ式流星電波干渉計は、27年度は観測期間中に動作不安定となることがしばしば生じ、十分な評価用データの取得ができず、デジタルダイレクトサンプリング方式流星電波干渉計の開発にそのデータを活かせなかったことも原因の一つである。 しかし、流星エコーの到達時間差から流星飛跡を求める観測システムと流星の距離データを取得する観測システムは実習授業にも教材として利用され、教育的成果を挙げている。 さらに、3波のアマチュア無線ビーコン波を用いることにより、一つの観測点でも流星の飛来方向が推定できる方法を確立し、研究目的の一つでもある広報普及用の観測方法として、発表を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、昨年度に製作したデジタルダイレクトサンプリング方式流星電波干渉計用受信機の安定運用を目指し、ハードウエアならびソフトウエア両面でのさらなる改良、開発を進める。これが完成すれば完全直交性が得られ、その結果イメージ除去比が向上し、干渉波に対する耐性の向上が図れる。また、データbit数を8bitから14bitにすることによりダイナミックレンジが拡大し、強力な信号であっても飽和しなくなる。さらにサンプリングレートを400KSPSから100MSPSに上げて、複数送信波の帯域信号を同時に取得することができるように広帯域化が図れる。この干渉計観測システムに、これまでの研究で開発した流星エコー到達時間差観測システムならび送信点-流星反射点-受信点の距離を測定する測距システムを組み合わせて高精度の流星飛跡を求め、それから流星の軌道要素を導き出し、流星の起源を考察することを行う。 またこれらのシステムを実習授業にも使用し、教材としての評価を得る。観測対象は、6月上旬の昼間流星群、7月下旬のみずがめ座δ南群、12月中旬のふたご座流星群を計画している。これらの観測から得られた成果や教材としての評価を関連する研究会、学会等で発表する。
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Causes of Carryover |
27年度中に改良型デジタルダイレクトサンプリング方式流星電波観測用干渉計実機の性能評価を十分に行うことができなかったので、機能の最適化にともなう改良費が次年度使用額として生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
主に改良型干渉計用受信機の性能評価にともなう改良費と観測費用にあてる。
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Research Products
(2 results)