2012 Fiscal Year Research-status Report
文化的目的を意識した高校と大学をつなぐ数学学習教材の開発的研究
Project/Area Number |
24501051
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kyoto University of Education |
Principal Investigator |
大竹 博巳 京都教育大学, 教育学部, 准教授 (70168970)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河野 芳文 高知工科大学, 工学部, 教授 (00441527)
山田 篤史 愛知教育大学, 教育学部, 准教授 (20273823)
長谷川 貴之 富山高等専門学校, その他部局等, 教授 (70553197)
花木 良 奈良教育大学, 教育学部, 准教授 (70549162)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 科学教育 / 高大接続教育 / 高大連携教育 / 数学教材開発 / 数学教育 |
Research Abstract |
本研究は,高等学校の文理を問わない普通教育において,目的論として意識されにくい数学及び数学学習の文化的価値を学習者が認識し味わうことができ,しかも内容的に高等学校の数学の学習指導要領では扱われることが少ないが大学数学のトピックには繋がるような,高大連携的な数学教材を開発し,そうした教材を使って授業等を行い,それらの評価・修正を行うとともに,教材等の成果物を,電子媒体等を通じても利用可能な状態にして,教育現場に還元することを目的とするものである。 本研究には大学教員以外にも高等学校教諭や民間教育機関研究員が参加しており,幾何班と代数・解析班の二つの教材開発グループと評価検討グループに分かれて活動している。研究初年度である平成24年度は,教材開発グループが研究目的に適うと目される教材素案の収集・作成を行い,評価検討グループが加わる全体会合において各教材素案の文化的価値(教材の歴史的生成過程の認識可能性,応用面での多様性や美しさ感得など)や想定される指導・学習方法などについて検討した。検討の対象となったのは,発展的内容を含む高等学校教員の実践例(「折り紙の数学」,「カントールの対角線論法」,「四頂点を指定した四面体の体積」,「鏡像による多面体の作成」)や動画教材(「アルス・マグナ」,「等比数列の和」,「多面体定理」,「黄金比」,「布盗人算」,「盗人隠し」,「平安京探訪」),大学教員の高校生向け出前授業(射影幾何を背景にもつ作図問題),奈良教育大学花木研究室所属学生の研究課題(「エッシャーの学ぶ対称性のある図柄について」,「万華鏡の教材化」)等である。これらは,数学と人間との関わりや数学の社会的有用性について学習者の認識を深め,新指導要領における「課題学習」での利用が大いに期待されるものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は,交付申請書に記した平成24年度の研究実施計画通りに進んでおり,順調な進捗状況であると評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究は,平成24年度の作業を継続させつつも,蓄積した教材素案を基にして,何らかの形で授業を実施できるような具体的な教材およびその指導案の作成を行う方向に進めて行く予定である。これらの教材および指導案は,実際の授業実践の前に作成に関わっていない高校教諭や民間教育機関研究員,大学教員によって,授業における使用可能性について評価を受け,評価検討グループからの具体的な修正要求をもとに,教材作成グループが教材や指導案の改善を行う。これらの作業の後に作成教材を使った実験授業を行い,具体的な問題点や有効性を確認していく作業を行う予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本研究においては,大学教員(教科専門科目担当者と教科教育科目担当者)や高等学校教諭,民間教育機関研究員の多様な参加者が一同に会して,それぞれの教育研究経験に基づく様々な観点からの意見交換や協議を通じて進めていく研究会を開催することが重要であり、研究会開催のために研究費を優先的に使用する必要がある。今年度は,遠方からの参加している高等学校教員がクラブ指導等の業務のため参加できない状況が生じたことなどがあり,当初の計画より使用額が少なくなった。この分の助成金は,次年度に,本研究を進める上で参考となるような実践を行なっている教員や美術工芸織物のデザイナー等を研究会にゲストとして招き,発表をお願いするなど研究の幅を広げる目的に使用する計画である。
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