2014 Fiscal Year Annual Research Report
日本の探究学習における真正性概念の確立を企図する実践的研究
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24501053
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Research Institution | Kyoto University of Education |
Principal Investigator |
村上 忠幸 京都教育大学, 教育学部, 教授 (20314297)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中野 英之 京都教育大学, 教育学部, 准教授 (80554310)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 探究学習 / 探究プロセス / 真正性 / マルチプルインテリジェンス / ポスト近代 / 新しい能力 / コンピテンシー / 前仮説段階 |
Outline of Annual Research Achievements |
探究学習への取り組みの経験とその理論化の成果として、ポスト近代社会における「生きる力」としての能力である「新しい能力」といわれているものの涵養につながる実践的な相似点があることを見いだした。つまり、私たちの取り組みが知識基盤社会、グローバル社会を生き抜く能力である「新しい能力」への具体化として有用であることがわかった。 すなわち、そのような能力を語る手法として、すでに私たちは以前から(2007年頃、オランダ・イエナプランの研究から)MI理論に着目し、探究学習のなかに活用してきた。私たちは、この理論について実践的な展開を図るため(村上、2013、2014)、8つの知性の可視化を可能とする分析ツール(チェックシート(2007年~、オランダ・イエナプラン専門家H.ウィンタース氏から提供された。後に村上らは小・中版を開発)、レーダーチャート(2011年~、村上らが開発)で構成)を開発し、試行している。これを探究学習のグルーピングおよびコミュニケーションに活用し、教育現場からその有効性に大きな反響があった。 「新しい能力」の涵養となる対象は、主に児童・生徒、大学生、教員である。「探究学習の真正性」に基づく質の高い探究プロセス(独自開発した約10種)を年間100回程度、小学校(約50回)、中学校(約10回)、高校(約20回)、大学(約10回)、教員研修等(約10回)で実践した。 探究学習によって学習者のMIで可視化された知性(潜在的な能力)が顕在化することが示唆されている。このことは、特に教員にとって、児童・生徒の変容や自身の体験によって能力概念への実感を伴った理解が生じており、「新しい能力」への認識の深まりを確認できた。以上のように、本研究は、「新しい能力」へ至る真正性のある探究プロセスの構築を基本として、新しい時代へ向けた探究学習の姿を明瞭に提案することが出来た。
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