2013 Fiscal Year Research-status Report
ユネスコスクールの質の向上に向けたESD評価手法の分析
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24501093
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
鈴木 克徳 金沢大学, 環境保全センター, 教授 (30467120)
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Keywords | 環境教育 / 持続可能な開発のための教育(ESD) / ユネスコスクール / ユネスコスクール支援大学間ネットワーク / ESD評価 / ESD評価手法 |
Research Abstract |
昨年度に行ったユネスコスクール101校に対するアンケート調査の結果をさらに分析するとともに、特に北陸に関してはさらに詳細な補足調査を行い、各学校におけるESDへの取組みとESDの評価の考え方を分析した。多くの学校が共通して重視する能力がコミュニケーション能力である等の調査結果が得られ、学習における基本的な能力の育成を最重視していることが明らかになった。 また、ESDを教科学習に導入している富山県富山市立堀川小学校、総合的な学習の導入当初からESDを推進してきた愛知県西尾市立西尾小学校、環境からやかげ学へと発展させた岡山県立矢掛高校について、文献調査、インタビュー調査などにより、ESDにより目指すものやESD評価の手法等について詳細に調査した。その結果、長期にわたり実質的にESDを推進してきた学校にはほぼ共通する特徴があり、文部科学省が従来からESDにより育みたい力として提示していた体系的な思考能力、持続可能な発展に関する価値観、代替案の思考力(批判力)、情報収集・分析能力、コミュニケーション能力、リーダーシップ向上をESD評価の中心に据えていることが明らかになった。国立教育政策研究所が提示した「ESDの視点に立った学習指導で重視する7つの能力・態度」は、これらの評価手法をさらに発展させたものと言えるが、両者の関係を明確に示すことが現場の混乱を防ぐために重要であることが明らかになった。 さらに、昨年度の研究成果を発展させ、「ESDの視点に立った学習指導で重視する7つの能力・態度」と学習指導要領に示す「評価の4観点」との関係を、個別の教科に即して検討し、両者の関係を示すマトリクスを作成した。 上記のような研究成果を検討・分析するため、6名の専門家により構成される「ユネスコスクールの質の向上に向けたESD評価手法の分析研究会」を立ち上げた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究活動自体は、以下の点を除き順調に進展しており、昨年度の遅れを取り戻している。 他方、「ユネスコスクールの質の向上に向けたESD評価手法の分析研究会」を立ち上げたが、その主要メンバーの一人である国立教育政策研究所教育課程研究センターの五島政一総括研究官が昨年秋に病気で入院した。これまでのところ、同氏の回復状況を見極めるため、昨年秋以降の同研究会の活動を中断しているが、最終年取りまとめに向け、同研究会を早急に再開する必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに進めてきたユネスコスクール101校のアンケート調査、北陸を中心とする補足調査及びインタビュー等による詳細調査の結果を取りまとめ、ESDの評価手法の現状と課題に関する報告(案)を作成する。その中では、これまでESD推進の中核を担ってきた学校が、国立教育政策研究所が提示した「ESDの視点に立った学習指導で重視する7つの能力・態度」等を踏まえ、どのようにESD評価手法を変えつつあるのか、また、学習指導要領に示される評価の4観点とどのように調整しているかの更なる分析を含む。 また、「7つの能力・態度」と「評価の4観点」との関係を示す教科ごとのマトリクスをさらに発展させ、現場での活動の参考に供する。 さらに、ESDの重要テーマの一つである防災・減災教育について、東日本大震災以降、どのように変化し、どのように評価の視点や評価手法が変わってきたかを検討する。 それらの成果は、日本環境教育学会、日本教育社会学会等で発表するとともに、適切な学術誌に掲載する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究活動自体は、以下の点を除き順調に進展している。 昨年度設立した「ユネスコスクールの質の向上に向けたESD評価手法の分析研究会」の主要メンバーの一人である国立教育政策研究所教育課程研究センターの五島政一総括研究官が昨年秋に病気で入院し、これまでのところ、同氏の回復状況を見極めるため、昨年秋以降の同研究会の活動を中断していた。次年度使用額が生じた主な理由は、研究会の中断に起因するものである。 最終年取りまとめに向け、「ユネスコスクールの質の向上に向けたESD評価手法の分析研究会」を早急に再開し、精力的な検討を行う。また、研究成果の学会発表、学術誌への投稿を進める。 ESDの重要テーマの一つである防災・減災教育について、東日本大震災以降、どのように変化し、どのように評価の視点や評価手法が変わってきたかを検討する。平成26年度前期の活動として実施する。具体的には、気仙沼市等の現地調査、関東・東海を中心とする都県の防災教育マニュアルのレビューとその中におけるESDの考え方、評価方法の分析を行う。
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Research Products
(4 results)