2013 Fiscal Year Research-status Report
理科学習の有用性を実感できるキャリア教育プログラムの開発とハブシステムの構築
Project/Area Number |
24501094
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
萱野 貴広 静岡大学, 教育学部, 教務職員 (30293591)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
内ノ倉 真吾 鹿児島大学, 教育学部, 准教授 (70512531)
熊野 善介 静岡大学, 教育学部, 教授 (90252155)
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Keywords | キャリア教育 / 学習の有用性 / 中学校理科 / 地域教育リソース / キャリア教育ハブシステム / キャリア教育ネットワーク / CSR活動 / 基礎的汎用的能力 |
Research Abstract |
教科学習の有用性を実感し科学への関心を高め、科学や科学技術系職業への進路意識の醸成を目的として、24年度に続き25年度は、3校から5校に拡大した実践協力校において中学校理科カリキュラム組込型のキャリア教育プログラムを開発・実践し、生徒の実態調査および実践効果の検証を行った。 1)中学生の実態調査 実践校5校の中学生約650名に対して、理科および科学・科学技術系職業に対する意識調査を行った。先行研究および本事業調査の結果によると、中学校2年時には80%~85%が“自分が理系か文系か”の判断をしているが、新規の実践協力校(中学生全員が1小学校出身の郊外立地公立校)では、ほぼ半数が「わからない」と答えていた。設問方法に違いはあるが、学校所在地の地域差が顕著に表れた。 2)新しい実践プログラムによる授業実践と基礎的・汎用的能力の獲得状況に関する評価 新規実践公立校において、新しいキャリア教育実践プログラムを開発し実践した。具体的には、中学校3年の単元「化学変化とイオン」で学習する“燃料電池”を開発販売している企業に教師が出向き、主たる研究者に対して“最新の科学技術、製品開発のための工夫さらに職業意識や夢”についてインタビューし、そこで得た知識や感動を教室に持ち帰り生徒に伝える、という内容である。専門家による授業ほどの感動を得られる保証はないが、今後、影響を与えることのできる生徒や同僚教師、移動先の学校等を考えるとその対象は大きい。加えて昨年度末までに、中央教育審議会答申による「キャリア教育で身につけさせたい基礎的・汎用的能力(2011年1月)」の育成に関する評価法について協議し、評価基準(案)を作成し、A校1年生の単元「大地の変化」と2年生「電流とその利用」の単元で試行した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
(理由) 1)実践協力校を5校に増やし、実践教員および本事業への賛同教員を増やすことができ、キャリア教育プラットホームとしての役割を一部果たすことができたこと。 2)実践協力校において授業実践前後のアンケート調査の結果、学校での教科学習や理科と日常生活の関わりに関する認識、科学や科学技術系職業に対する生徒の意識の多様性が明らかになったこと、また授業実践後の事後アンケートにより生徒の学校学習やキャリア意識についての変容の分析から、今後のプログラム開発や導入方法への示唆を得ることができたこと。 3)新規の実践協力校において、教師が企業の研究所に出向き、そこで得た知識や感動を活用するといった、新しい教育プログラムを開発し授業実践できたこと。 4)公立校で4年間継続してきた複数企業によるキャリア教育を25年度も実践でき、学校の年間カリキュラムとして位置づけたこと。研究実践校でも、企業、教師、大学の研究者が協同開発したプログラムを、引き続き実践することができたこと。 5)中央教育審議会答申による「キャリア教育で身につけさせたい基礎的・汎用的能力(2011年1月)」の育成に関する評価法について協議し、評価基準(案)を作成し、1年生の単元「大地の変化」と2年生「電流とその利用」の単元で試行することができた。生徒の自己評価項目については、7割程度の達成度が見られた。
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Strategy for Future Research Activity |
全体会議における実践報告および相互評価の結果等によって過去2年間の成果と課題を焦点化し、効果の高い実践に関しては継続し、新たに課題克服を可能にする実践プログラムを開発し実践する。実践した授業については、実践授業前後の生徒の変容状況からそのプログラムの効果を検証する。生徒の変容については、アンケート調査の結果を中心に継続して分析する。これらから、開発したプログラムの妥当性について全員で総合的に吟味し、ブラッシュアップを図る。キャリア教育教材D.S.T(Doing Science Trigger)については、新規作成と、導入授業の実践を計画している。 更に今後、キャリア教育で身につけさせたい基礎的・汎用的能力をどの程度獲得できたかについて評価を行う。また、本基盤研究ネットワーク拡充のための具体的方策を練り、ハブシステム構築に向けて積極的に取り組む予定である。また、24年度に開設したホームページで、研究の進捗状況や実践授業に関する情報を発信し、幅広く交流を試みる。 現時点では、研究計画の変更はなく、成果報告書の作成準備とともに研究遂行上の問題点はない。
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Research Products
(4 results)