2012 Fiscal Year Research-status Report
生徒と教員の双方向の視覚障害に対応した、電子黒板と電子教科書の活用に関する研究
Project/Area Number |
24501124
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Tsukuba University of Technology |
Principal Investigator |
村上 佳久 筑波技術大学, 障害者高等教育研究支援センター, 助教 (30229976)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | 電子黒板 / 電子教科書 / 視覚障害 |
Research Abstract |
1.電子教科書 (1)電子教科書:医学系図書出版社数社と交渉したが、現時点では否定的なため難しく、1社の2書誌だけで電子化データの試行実験を行った。自身で作成した教科書は、電子化試行し、フォント等の文字形状や改行位置などの問題点が明らかとなった。(2)電子点字:点字をどのように配信するかが最大の問題である。学生での調査では、意見は十人十色で、初めから全部のデータが必要、授業で話している内容のみ必要、今日の授業のデータが必要など、個人の要求が様々で意見を集約できなかった。(3)電子音声:音声データではDAISYのような章立て構造化機能データと、MP3のような単純なデータの二分化が明確になり、学生個々の利用形態に依存する事が判明した。 2.電子黒板 (1)導入:計画は60型のものを導入予定であったが、70型2台に変更した。この大きさは、中講義室黒板の大きさに匹敵し、従来黒板との比較検証が可能となった。配置角度や視認性、電子ペンなどの問題が明らかとなった。(2)運用:黒板板書の様に全体のデータを二画面に分割して運用する表示システムに問題があり、2台の電子黒板と制御用のパソコンと画面配信システムとの整合性が課題となった。2画面のデータを学生用端末にどのように配信するかが最大の問題である。(3)3つのデータ転送:小型の端末に画面データを転送する機能については、教室周囲の無線LANの電波が、電子黒板データ転送を制限してしまう事が最大の問題である。電子黒板の情報を音声データとして転送する機能では、リアルタイムでデータ転送するか、はじめにデータ転送を全て行うかで、受け手の学生の意見が異なる。点字データとして転送する機能では、電子教科書同様、意見が集約できなかった。(4)強調部分の表示:マーカーなどの強調したい部分を点字や音声で送ることは事実上不可能であり、新たな改善策が必要である事が判明した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
電子黒板の表示:2台の電子黒板を1台のパソコンで通常の黒板のように表示させる。 電子黒板のデータ提供:無線LAN部分の学内LANとの競合部分の解決方法。 この2点の技術的問題により、計画よりも遅れている。他の部分は、おおむね計画通りである。
|
Strategy for Future Research Activity |
技術的な問題部分は、継続して解決策を検討する。特に無線LANのデータ配信帯域の確保は重要な問題である。有線LANとの併用も含めて新たな解決策も検討する。 全盲の教員がどのように電子黒板を利用するかについて、協力校の実地検証等により検証する。教員個々の教育方法に依存する事例なので、何が出来て、何が出来ないかを明確にしたい。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
実験協力校での試行のため、小型卓上型電子黒板(20インチ)(\50,000)と点字ディスプレイ(\250,000)を導入する。また、実験協力校への旅費(\100,000)が主たる研究費の使用計画である。
|