2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24501127
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
古田 貴久 群馬大学, 教育学部, 准教授 (60261822)
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Keywords | 教材開発 / 中学校・技術 / 計測と制御 / プログラミング教育 |
Research Abstract |
今年度も、中学校の教科「技術」の「計測と制御」単元の教材およびカリキュラムの開発を行った。教材は、鉄道模型(プラレール)の車両の位置を、位置センサで検知しながら、生徒がExcelのVBAで書いたプログラムが、パソコンにつながれた赤外線発光器からリモコン信号を送出して車両を運転するというものである。 昨年度に中学校で行った授業実践では、教材に関して、位置センサの誤動作が頻発した。そのため、今年度は位置センサの仕様を変更して製造し直した。これにより、今年度は機器のトラブルが減少した。また、今年度から、実際にプラレールを遠隔操作する前の段階で、生徒が自分のプログラムが正常に動作するか確認できるように、車両の位置をエミュレートする簡単な装置を配布した。これにより、生徒は、プラレールが期待通りに制御されないとき、原因が自分のプログラムにあるのか、それとも機器の不調にあるのかが判断できるようになった。生徒は、簡便に動作確認ができるということで、実機よりもエミュレータの方を好むようであった。 今年度は、生徒の意欲と学習成績の関係について、「真面目で意欲が高い生徒ほど積極的に作業を行うため、マウスやキーボードの入力回数が多くなる」と仮定した。作業中の生徒のマウスとキーボードの全入力、授業実践に同行した複数の評価者による主観的な意欲評価、および、授業中に行われた小テストおよび期末試験の成績の3指標の間で有意な相関が認められた。 また、生徒に「計測と制御」のより確固としたイメージを持たせるために、エアコンと炊飯器の動作の仕組みを表したアニメーションを作成した。このようなビジュアルな教材は、イラストなら多数あるが、アニメーションはほとんど見当たらない。テロップの入れ方や、より親しみを演出するための工夫について課題を残した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画では、中学校で実際に授業を実施しながら、問題点を明らかにしつつ、改善を図っていく予定であった。「研究実施の概要」でも述べたが、位置センサが学校現場で誤動作したことは予想外であったが、これは、大学の研究室と、中学校の教室の、部屋の明るさが肉眼で感じるよりも大幅に違うためであり、このようなことは実際に機器を動作させてみないとわからないことであったが、現在ではこの問題はクリアされている。 また、実際にプラレールを制御させる前に、生徒に、車両のエミュレータを使ってプログラムが確実に動作するかを点検させるようにした。もともとエミュレータを導入したことは、教材の機器トラブルが頻発したことに対応したものであったが、今では実機をより確実に制御することに貢献しており、授業がよりスムーズに展開するようになった。 以上のように、研究は、実際に授業を行うことで明らかになった問題点の解決を図るという当初の計画の通りに進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も、計画の通り、中学校で実際に授業を実施しながら、問題点を明らかにしつつ、改善を図っていく。課題の1つは、プログラミングの指導に関して、現場のようすや、中学校教員との議論を通じて、より実践的な、現実のプログラマの思考法をベースにした指導法のほうが有効ではないかという仮説を抱くようになったので、そのような可能性について検討していきたい。違う課題として、生徒が実機よりもエミュレータを好む理由が、機器の動作の安定性の問題だけなのか、それともリアル(実機)とバーチャルの違いと何らかの関わりがあるのではないかという観点から、指導法の改善を検討したい。
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Research Products
(1 results)