2013 Fiscal Year Research-status Report
マンガとデジタル教科書の「読み」に関する実証的研究
Project/Area Number |
24501173
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
窪 俊一 東北大学, 情報科学研究科, 准教授 (50161659)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
和田 裕一 東北大学, 情報科学研究科, 准教授 (80312635)
三浦 知志 東北大学, 情報科学研究科, 博士特定研究員 (20583628)
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Keywords | マンガ / 電子書籍 / デジタル教科書 / メディアリテラシー / 認知心理学 |
Research Abstract |
本研究は、デジタル・メディア環境の急速な変容にともなう情報提示端末を使用した「読み」について、メディア・リテラシーおよび認知心理学の観点から、その変化・特性を実証的に考察しようとするものである。その際、現代の視覚メディアの代表であるマンガを主たる対象とし、その「読み」が、パソコン、インターネットやケータイ、iPod・iPad・Kindle などの携帯情報端末・タブレット型PC の登場、電子書籍に代表される書籍のデジタル化にともない、どのように変化しているのか、どのような影響を与えているのかを、「電子黒板」や「デジタル教科書」も視野に入れつつ検証しようとするものであり、平成25年度は以下のことを行なった。 1.認知科学の観点からのマンガの「読み」について調査を行った。具体的には、デジタル情報端末によるマンガ読書の際の視線の動きと紙媒体のマンガ読書の際の視線の動きを視線解析システムを用いて観察した。同時に、電子書籍による読書と紙媒体による読書の相違について、主として学生を対象に聞き取り調査を行った。これらの結果を、マンガ表現論の知見と突き合わせ、比較考察することを試みた。 2.認知心理学からのマンガ研究のアプローチとして、マンガに表れた人間の「注意」の向け方の日米比較を試み、学会で発表するとともに、学会誌に発表した。 3.デジタル教科書を使用した実際の授業を参観すると同時に、使用者に聞き取り調査を行い、デジタル教科書の特徴的な使用方法、使用形態を探ることを試みた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
マンガを対象とする研究を、共同研究者(認知心理学)およびゼミの学生の協力も得て、精力的に実施し、マンガにおける読みの男女差、注意の文化的差異などの研究を実施することが出来た。また、電子書籍の読みに関しても、学生を対象とした調査を実施することが出来た。デジタル教科書に関しては、実際にデジタル教科書を使用している教員との研究会などを通して、聞き取り調査を行うことが出来た。この協力の枠組みは次年度以降の研究でも維持されることになっているので、次年度の研究にも進展が期待できると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、本研究プロジェクトの最終年度であり、研究のとりまとめを行う。 (1)マンガの認知心理学の研究では、今まで経験的に語られることの多かった表現・読みの特性を、実証的に説明しようとした2年間の研究成果をとりまとめる。 (2)電子書籍の読みに関しては、2年間の調査・検証をとりまとめると同時に、それを補完する調査を実施する予定である。 (3)デジタル教科書に関しては、引き続き、実際の使用状況を観察すると同時に、2年間の結果をとりまとめる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
年度末に予定していたWindows OSのアップグレードを実施できなかったため。 このOSのアップグレードについては、次年度に行うこととした。
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