2012 Fiscal Year Research-status Report
初任教師の熟達を支える職場環境調査と管理職・指導教員研修ツールの開発
Project/Area Number |
24501175
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
中原 淳 東京大学, 大学総合教育研究センター, 准教授 (00342618)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山口 悦司 神戸大学, 人間発達環境学研究科, 准教授 (00324898)
苅宿 俊文 青山学院大学, 社会情報学部, 教授 (30307136)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | 初任教師 / 職場環境調査 |
Research Abstract |
平成24年度は教師に対して調査を行った。具体的には、(1)質問紙作成のための質的調査・文献調査、(2)質問紙の作成・実施・分析に取り組んだ。 (1)に関しては以下のとおりである。本年度は複数の小中学校を訪問し、管理職や若手教師を対象に、校内の若手教師支援の取り組みに関してインタビューを行った。具体的には、校内のどの立場の教師が若手教師に対して支援を行なっているのか、その内容等についてインタビューを行った。また、国内外の教師・学校を対象にした調査に関する論文のレビューを行った。 (2)に関しては以下のとおりである。(1)を踏まえ、経験年数2年目の教師を対象に質問紙調査を行った。質問項目は以下のとおりである。個人に関する項目としてキャリア意識、組織コミットメント、自己効力感、バーンアウト、ストレッサーに関して質問を行った。また、学校環境に関する項目として学校文化・組織構造に関しても質問を行った。そして、支援に関する項目として、初任教師が誰からどのような内容の支援を受けているのか質問を行った。 分析の結果、どのような支援が初任教師の問題解決に寄与するのか明らかになり、今後研修ツールを開発するためのフレームワークを得ることができた。現在分析結果を論文にまとめている最中であり、平成25年度は学会誌への論文投稿、学会での口頭発表・ポスター発表などを予定している(平成24年度は一部分析結果について日本教育工学会で発表を行った)。また、分析の一部データを活用して経験10年目の教師を対象にした研修を実施をした。今後分析結果から得られたフレームワーク、経験10年目の教師を対象とした研修の結果等を踏まえて研修ツールの作成を行う予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度に予定していた調査は完了し、分析も進み、論文投稿の準備にも取り組めたためである。研修ツールを開発するための知見を収集することができた。調査内容として、キャリア意識、組織コミットメント、自己効力感、バーンアウト、ストレッサー、学校文化・組織構造、そして、初任教師が誰からどのような内容の支援を受けているのか、などが挙げられる。調査結果の一部は日本教育工学において「小学校初任教師を対象とした校内における組織的なメンタリングの手法と効果に関する実証的研究」というタイトルでポスター発表を行うこともできた。ポスター発表で行われた内容をさらに発展させて平成25年度は論文投稿を行う予定である。また、研修ツール開発のための準備として、一部分析データを用いて経験年数10年目の教師を研修を行なった。ここで行われた研修結果は平成25年度に開発する研修ツールに活用する予定である。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成24年度の調査をもとに、経験年数2,3年の教師に初任教師時代に関する追加のインタビュー調査を行う予定である。これら結果と平成24年度の分析結果を合わせて研修ツールの開発を行う予定である。研修ツールの内容は、基本的には管理職・指導教員がこれまでの学校の状況や初任教師とのかかわりについて内省を行うための診断ツールを予定しており、管理職・指導教員向けにそれぞれ開発を考えている。研修については、以下の流れをを考えている。最初に、診断シートの実施を行い、その場で診断結果を確認し、まずは一人で内省を行う。その後、グループに分かれて診断結果を踏まえ、管理職・指導教員同士で各学校の実情などについて対話を行う。そして、最後に診断シートの結果、グループでの対話をふまえて各自で今後の初任教師育成に関するアクションプランを立案し、発表する。 また、平成24年度に得られた調査結果について、学会で口頭発表・ポスター発表を予定している。論文投稿も行う予定である。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
主に研修ツール開発のためのコンピュータ、ソフトウェアが必要である。また、開発にあたり既存の研修ツールのレビューを行うため文献購入費も必要である。 学会発表のための交通費・宿泊費等も必要である。また、調査のデータの入力・分析、研修の開発のための学生謝金も必要である。
|
Research Products
(1 results)