2013 Fiscal Year Research-status Report
メタ認知とパフォーマンス評価を組み入れた高次批判的思考力育成モジュール教材の開発
Project/Area Number |
24501179
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
後藤 康志 新潟大学, 教育・学生支援機構, 准教授 (40410261)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
生田 孝至 岐阜女子大学, 文化創造学研究科, 教授 (20018823)
黒上 晴夫 関西大学, 総合情報学部, 教授 (20215081)
澤邉 潤 新潟大学, 教育・学生支援機構, 准教授 (30613583)
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Keywords | メディア・リテラシー / 批判的思考 / パフォーマンス評価 / メディア認知 / メタ認知 / 学士課程教育 / ルーブリック |
Research Abstract |
メタ認知に関しては,平成24年度の基礎的研究から,情報源へのアクセシビリティがメディア選択の意思決定に重要な役割を果たすことが示唆されていたことから,平成25年度においては,アクセシビリティが高いメディアほどメディア選択において無意識的に優先されることについて確認した。このことから,信頼性の高いメディアへのアクセシビリティを高めるだけでなく,学習者自身アクセシビリティが低いメディアを過小評価する傾向にあることを知覚するような教材を開発した。また,批判的思考態度尺度(平山・楠見)がメディア選択における情報の信頼性の評価に関係があることが示唆された。そこで,700名程度のサンプルを収集し,批判的思考態度尺度評価値の相対的位置から自己の批判的思考態度の傾向を把握できる教材を開発した。これらは自己とメディアとの関係に関するメタ認知的知識を提供可能なものである。 批判的思考技能のパフォーマンス評価に関しては,VALUEルーブリックの情報リテラシー及び批判的思考を参照基準とし,ルーブリックを開発した。当初,ルーブリックについては開発済の市民として必要な基盤的な批判的思考技能ルーブリックに各領域で高次レベルを拡張する「専門分化型ルーブリック」を想定(例えば「基盤+高次(工学)」,「基盤+高次(農学)」など)していたが,VALUEルーブリックも参考にしつつ,共通のリーブリックで複数の領域をカバーする「共通型ルーブリック」も試作(「基盤+高次(分野共通)」)した。VALUEルーブリックは各領域でのローカライズを想定していることから,教材には両方とも併記とすることとした。 上記のメタ認知的知識の提供と,パフォーマンス評価を組み合わせたパフォーマンス課題(卒業研究,症例研究など)を作成した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は平成26年度内のモジュール公開を目標としており,コンテンツはモジュールの目的,概要,メタ認知的知識を提供するアプリケーション,ルーブリック及びガイド,作業プリント,資料,利用例となる。これらのコンテンツについては概ね作成済みである。 この中で特徴的であるのはメタ認知的知識を提供するアプリケーションであり,①学習者のメディア選択の意思決定を可視化可能なAHP(階層分析法; Analytic Hierarchy Process)アプリケーション,②メディアへのアクセシビリティの自己評価シート,③批判的思考態度の相対的位置確認シートからなっている。②及び③については平成25年度の開発を通して拡張された部分であるが,この追加を行いつつも平成26年度内のモジュール公開に支障はないと判断できる。 計画では,開発したモジュールの各専門分野の共通性・独自性を検討することとしていたが,概要でも述べたとおり,「専門文化型ルーブリック」とそれに対応するパフォーマンス課題と,「共通型ルーブリック」とそれに対応するパフォーマンス課題のいずれが現状にフィットするかは実践を重ねる必要があると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
モジュール教材の公開に関しては,本研究のベースとなった市民として必要な基盤的批判的思考に加え,職務や研究の遂行に必要な高次批判的思考に関して,幅広い利用が可能なWebによる配布の準備を進めている。 課題としては,概要でも述べた,「専門文化型ルーブリック」と「共通型ルーブリック」のいずれが現状にフィットするかである。現在,教育学分野,工学分野,農学分野,歯学教育分野,作業療法学分野を事例として取り上げているが,これに社会福祉学分野,医学教育分野等も加え,事例を収集していく必要がある。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究成果の公表のための英文校閲の謝金を予定していたものの,期限内での研究成果のとりまとめが困難となったため,次年度に実施することとしたため。 前年度実施する予定であった研究成果の公表のための英文校閲のための謝金として使用する計画である。
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