2013 Fiscal Year Research-status Report
障害の程度に応じたゲーム映像加工により誰もが参加可能となる運動療法ゲームシステム
Project/Area Number |
24501226
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
田中 一基 近畿大学, 工学部, 教授 (60351657)
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Keywords | コンピュータビデオゲーム / テーラーメイドゲーム映像 / マルチプレイヤゲーム / 運動能力 / 筋力制限 / 視覚制限 |
Research Abstract |
昨年度に,運動療法のためのコンピュータビデオゲームとして2人用の風船バレーボールゲームを開発し,各プレイヤ専用に提示するゲーム映像にそれぞれ異なる加工を行って,運動能力に違いのある2人のプレイヤが対等に競える基本的な仕組みを確立した.具体的には,筋力が劣るプレイヤには,そのプレイヤのアバタの近くに相手のアバタを置き,視力が劣るプレイヤにはボールを明るく大きくして提示する.本研究では,このようなゲーム映像をテーラーメイドゲーム映像と呼んでいる.今年度はネットワークゲーム化により,3人以上が参加可能なマルチプレイヤゲームに拡張した. 開発したゲームの評価実験を次のように行った.3人ゲームに設定し,健常者21名の被験者を集めた.被験者を3人1組で7組に分け,各組は,視覚機能を制限したプレイヤと,筋力を制限したプレイヤ,および健常者のプレイヤ,で構成した.ゲームは,テーラーメイドゲーム映像を用いない場合と用いた場合の2セッションを行った. 実験結果を統計解析(分散分析と多重比較)した結果,テーラーメイドゲーム映像を用いない場合は,筋力制限された者は健常者より有意(p=0.01)に弱かった(失点率の平均が高かった)が,テーラーメイドゲーム映像を用いた場合は有意差が無くなった.一方,視覚制限された者については,テーラーメイドゲーム映像を用いない場合は有意差が見られず,用いた場合は,視覚制限された者が有意に強くなった.以上より,まず,筋力制限されたプレーヤに対するテーラーメイドゲーム映像の有効性が確認できた.しかし,視覚制限のために用いた視覚障害体験用ゴーグルの制限効果が小さく,視覚制限された者はテーラーメイドゲーム映像によって強くなってしまった,と考えられる. 最後に,本研究の計画当初に懸念事項として挙げていたテーラーメイドゲーム映像への違和感については,特に問題として認識されなかった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度の目標はネットワークゲーム化であり,問題無く開発できている.実験により,筋力制限されたプレーヤに対するテーラーメイドゲーム映像の有効性が確認できた.ただし,視覚制限された者に対するテーラーメイドゲーム映像の効果については,視覚制限の方法に不備があり評価できていない.
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Strategy for Future Research Activity |
筋力の障害に対するテーラーメイドゲーム映像の生成手法を体系化する.視力の障害については,視覚制限の方法を改良し,視力が劣るプレイヤに対するテーラーメイドゲーム映像の効果を再評価するが,予定どおりに進まない場合は,筋力の障害に対する支援手法の研究としてまとめる.また実際の障害者への実践評価については,その先導役として期待していた連携研究者が異動したため,療養施設等での評価の見通しが立っていない.代替案として,理学療法士などの専門家によるゲームの観察と評価(コメント)を予定している.
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Research Products
(2 results)