2013 Fiscal Year Research-status Report
地域社会での役割と関与者の長期記憶の観点に基づく博物館の新評価に関する研究
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24501267
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
湯浅 万紀子 北海道大学, 総合博物館, 准教授 (60182664)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清水 寛之 神戸学院大学, 人文学部, 教授 (30202112)
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Keywords | 記憶 / 来館者研究 / 博物館評価 / 博物館学 / 認知心理学 / 質問紙調査 / 面接調査 |
Research Abstract |
本研究の目的は、博物館活動に関与する様々な人々の博物館体験の長期記憶を調査することによって、費用対効果や経営効率とは別の観点から博物館の存在意義を明らかにし、博物館評価の新たな指針を示すことにある。地域での博物館活動を50年以上続けている名古屋市科学館と明石市立天文科学館に研究協力を求め、調査研究を展開している。 3ヶ年に設定された研究期間の二年目である平成25年度では、前年度に名古屋市科学館と明石市立天文科学館の来館経験者、友の会会員、ボランティアなどに実施した質問紙調査の協力者のなかから、面接調査への協力を快諾し、数年以上前の活動体験を持っている方に面接調査を実施した。名古屋市科学館ではALC(天文指導者クラブ)会員9名、ボランティア 11名、友の会会員26名、来館者2名である。明石市立天文科学館では、ボランティア・友の会会員7名、シルバー天文大学参加者5名、 来館者3名である。 また、前年度に来館者などに実施した質問紙調査の調査項目を科学館職員向けに改訂した質問紙調査を、両館の職員を対象に実施した。名古屋市科学館では29名、明石市立天文科学館では6名から回答を得た。そのなかから、面接調査への協力を快諾し、調査日時に都合がついた方々に個別面接調査を実施した。名古屋市科学館では9名、明石市立天文科学館では3名と旧職員2名である。 面接調査で録音した音声データを文字データに書き起こした。評定作業、総合的なデータ分析、および総括的考察は次年度に実施する。 本研究のこれまでの成果の一部については、名古屋市科学館の職員を対象にした「博物館体験記憶の調査」談話会と、滋賀大学経済学部講演会で発表し、参加者と意見交換した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
名古屋市科学館と明石市立天文科学館の研究協力者をはじめ職員の方々からの協力を得て、多様な関係者に質問紙調査と面接調査を実施することができた。面接調査で録音したデータの書き起こしは完了したが、評定作業には着手できなかった。前年度に実施した質問紙調査の分析は途中段階ではあるが、最終年度は調査に時間を費やさずに、これまでの調査の分析に注力できる見込みである。
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Strategy for Future Research Activity |
必要に応じて小規模な追加調査の実施も検討するが、主として両館の運営に関する文献調査を進める。両館で実施した調査データを量的・質的に分析し、本研究代表者と研究分担者のこれまでの調査研究結果と比較しながら、両館の職員である研究協力者とともに記憶の内容と特徴、記憶として定着する諸要素を縦断的に検討する。様々な記憶をもつ関与者にとっての科学館の存在意義を整理して示し、関与者の長期記憶に注目して博物館評価を行う意味を考察する。 3年間の研究を総括して成果をまとめ、学会などで発表し、学術専門誌に論文を投稿する。両館で公開研究発表会を開催して、本研究で明らかにした両館のそれぞれの地域での存在意義を伝え、本研究の意義と課題について、参加者と広く議論する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
追加調査の可能性を検討したが、次年度に見送った。また、調査データの書き起こし作業に時間と労力を要し、評定作業を次年度に見送ったため、作業補助者への謝金が残った。 次年度に、名古屋市と明石市で文献調査と追加調査を実施する。評定作業は次年度早期に進めることが確定しており、次年度に確実に使用できる。
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Research Products
(3 results)