2013 Fiscal Year Research-status Report
アンケート調査に基づく歴史系地域博物館展示・設備の実践的研究
Project/Area Number |
24501271
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
吉田 優 明治大学, 文学部, 准教授 (90267360)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
駒見 和夫 和洋女子大学, その他部局等, 教授 (20225577)
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Keywords | 歴史系地域博物館 / 博物館展示 / アンケート調査 / 出前講座 |
Research Abstract |
本研究では茨城県猿島郡五霞町をフィ-ルドとして、地域住民の博物館に対する要望を収集・分析した上で実際の展示活動を行い、再度住民の評価を得て歴史系地域博物館の効果的展示・設備モデルの構築を目指す。平成25年度に進めた内容は以下の4点である。 ①昨年度実施のアンケートに基づき、「水と五霞の歴史」をテーマとした展示「五霞の生活誌」・講演会「北関東のなかの五霞」を企画した。講演会を展示との同時開催としたのは、展示資料の教育的効果を高めるためには、資料を通じて来場者の視覚・触覚に訴えかけるだけではなく、講座等の開催により、来館者の聴覚をも刺激して幅広い情報を来場者に与えることが重要と考えたからである。なお、展示開催に向けた作業としては、各展示パートのコンセプトの立案、具体的な展示資料の選定等を行った。 ②展示の中心資料のひとつとなる近世文書は、従来より展示には向かないとの見方があるため、研究代表者は学芸員養成課程の学生を組織し、近世文書を来場者の身近に感じさせる方法を模索した。その展示方法等については、2013年5~6月に明治大学博物館で開催した展覧会「オーソドックスな古文書展示」の際、アンケートにより来場者に評価を求めた。なお、この展覧会では五霞町所在の資料も出品した。 ③昨年度までに撮影・データ入力を行った五霞町所在資料の情報・画像を取り込んだビュワー・アプリケーションの開発を行った。 ④五霞町教育委員会側の都合により、①で企画した展示・講演会の年度内開催が果たせなかった。そこで、五霞町の文化財を守る会等の後援を得て、2014年3月に明治大学でシンポジウム「水でつなぐ北関東の歴史」を開催した。当日は五霞町の住民を含めて160名以上の参加者を得る盛況ぶりで、改めて教育的効果の普及における講演会の果たす役割の大きさを実感すると共に、最終年度の展示・講演会の開催に向けて弾みをつけることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画のうち、五霞町に伝わる年中・伝統行事の保存(映像撮影)は主催・参加者のプライバシーの問題に配慮して実施を断念した。ただし、昨年度五霞町住民を対象として実施したアンケート調査の結果によれば、これに関わる「民俗・芸能」への住民の関心は低かったため、本研究の中心作業である展示活動への影響はほぼないと判断する。また、今年度の実施を念頭においていた展示・講演会は、五霞町教育委員会側の都合により開催できなかった。教育委員会との協議の機会を設け、展示・講演会開催の持ち越しによって最終年度に予定している研究の進行に影響を及ぼさないよう十分配慮したい。 このように当初の研究計画とは多少のずれを生じている面もあるが、展示テーマ・コンセプトの企画・立案、展示資料の選定、ビュワー・アプリケーションの開発等といった上記以外の点については年度計画通りほぼ順調に進展しており、13「研究発表」に記載の通り研究成果も上がりつつある。 なお、講演会・シンポジウム等での報告内容は、本研究課題の成果として研究終了後に刊行を計画している『地域博物館と地域史研究』(課題)に盛り込む予定でおり、報告者等には内諾を得ている。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度の研究の推進方策としては、まず早急に五霞町教育委員会との協議を経て、展示・講演会を開催し、本研究の展示活動について再度住民の評価をアンケート調査によって得ることにしたい。その上で、最終年度の計画に従い、研究分担者・協力者を交えてディスカッションを行い、展示構想を練り直し、最終的な歴史系地域博物館の効果的展示・設備モデルの構築を目指す。なお、本研究の総括については、2014年12月に明治大学博物館学教室を会場として御茶ノ水博物館学研究会との共催で開催準備を進めているシンポジウムで行う予定である。 総括的シンポジウム終了後は、本研究において収集・整理した五霞町所在資料の目録およびアンケート調査結果を収録した報告書の作成に取り組み、11「現在までの達成度」に示した本研究終了後に刊行を計画している『地域博物館と地域史研究』(課題)と共に、研究成果の社会還元を行いたいと考えている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初、今年度に行う予定であった五霞町での展示・講演会の年度内開催が果たせなかったため、現地への旅費、展示製作・準備に関する物品費、人件費・謝金等が次年度に持ち越しとなった。 五霞町での展示・講演会を開催する予定であり、その後明治大学を会場として本研究課題の総括的シンポジウムを開催する準備を進めている。総括的シンポジウム終了後は、本研究において収集・整理した五霞町所在資料の目録およびアンケート調査結果を収録した報告書の作成に取り組む予定である。 これらの展示・講演会やシンポジウム開催、報告書の編集・印刷に予算使用が見込まれる。
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Research Products
(5 results)