2013 Fiscal Year Research-status Report
温暖化に伴う夏季天候の変容とヤマセ型冷夏の出現可能性に関する研究
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24501283
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
境田 清隆 東北大学, 環境科学研究科, 教授 (10133927)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 信人 宮城大学, 食産業学部, 助教 (90422328)
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Keywords | ヤマセ / 気団 / 前線帯 / 梅雨明け / 温暖化 |
Research Abstract |
ヤマセ吹走時の地形効果を検証するため、蔵王山の風上/風下斜面に温湿計を設置して通年観測を実施した。その結果、風上側で湿潤、風下側で乾燥となるが、6月から8月に至る季節進行の中で、湿潤傾向が強まり、日照不足や降水の増加が確認された。これは季節進行に伴い、三陸沖海水温が上昇した結果と考えられ、近い将来の温暖化に伴って生起する可能性が指摘される(学会発表1)。 1963年~2013年の期間で梅雨明け前後の気団解析を実施し、梅雨明けに伴う気団交替の経年変化を明らかにした。その結果、1976年以前では、前線帯が南岸から北方へ北上する正常な梅雨明けが多かったのに対し、1977年~1992年では前線帯が消滅するタイプが、1993年以降は梅雨明け以前にすでに前線帯が明瞭でなくなる傾向が認められた。梅雨明けに関与する気団として、オホーツク海気団と小笠原気団以外に大陸性熱帯気団の役割も大きく、特に近年その関与が増大している(学会発表3)。 研究分担者の高橋信人は、アメリカ海洋大気庁(NCEP/NCAR)の850hPa面における気温と相対湿度の再解析データから地上前線の位置を特定する手法を開発し、エルニーニョ/ラニーニャ現象時における日本付近の前線帯の季節変化を明らかにした(雑誌論文1)。この手法は上述した気団解析法として卓越しており、この手法で作成した前線帯データと、夏季日本における地上気温偏差の空間パターンとの関係を過去60年間にわたって整理し、前線帯の位置と気温分布の関係における長期変化も明らかにしている(学会発表4)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
境田清隆と高橋信人のそれぞれが研究を進展させている。ただし両者の連携がやや不足気味といえる。
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Strategy for Future Research Activity |
高橋信人の開発した前線帯の解析手法を、梅雨明け時に適用し、梅雨明けとその後の盛夏季における経年変化の解析に進展していく予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
2014年3月27日に日本地理学会の参加費を立替払いで支払ったが年度内の執行が出来なかったため。 2014年度初めに立替払いの執行が出来る予定。
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