2013 Fiscal Year Research-status Report
真の癌幹細胞マーカーは、未分化細胞特異的転写因子Oct-3/4であることの証明
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24501317
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
窪田 直子 鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (40569810)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 正宏 鹿児島大学, 医用ミニブタ先端医療開発研究センター・遺伝子発現制御学分野, 教授 (30287099)
野口 洋文 独立行政法人国立病院機構(千葉東病院臨床研究センター), 外科・移植再生学, 研究員 (50378733)
齊藤 一誠 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (90404540)
稲田 絵美 鹿児島大学, 医学部・歯学部附属病院, 助教 (30448568)
齊藤 陽子 新潟大学, 医歯学総合病院, 助教 (30404487)
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Keywords | 癌幹細胞 / Oct-3/4 / 遺伝子工学的処理 |
Research Abstract |
癌幹細胞(cancer stem cell; CSC)研究では、CSC の単離の際に CD133, CD44 等の表面抗原マーカーが用いられている。CSC は自己複製能と多分化能を示すという特徴から発生初期の胚に含まれる未分化な細胞に似ているものと考えられる。そこで、体性幹細胞よりも発生初期に発現し、かつ、単に未熟な幹細胞に発現するだけでなく、機能的にも重要で、それが無いと発生初期で胚の発生が停止するOct-3/4が CSC のマーカーとなりうると考えた。本研究課題ではOct-3/4陽性細胞と陰性細胞との集団から成るヒト膵臓癌細胞株PANC-1を用いて上記仮説を検証する。 PANC-1に遺伝子工学的処理を加え、Oct-3/4陽性株と陰性株を得る。次いで、in vitroでの細胞の増殖性、分裂様式、多分化能性、in vivoでの造腫瘍性、抗癌剤への抵抗性等を検討し、Oct-3/4陽性株がCSCとしての特徴を備えることを見出す。加えて、逆遺伝学的手法を用い、Oct-3/4レベルの増減がCSCの特性に影響を与えるかどうかを検討する。 平成25年度は、平成24年度に引き続き、PANC-1細胞を用いて幾つかの検討を行なった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
CSCは癌細胞中では数%しかなく、CSCと非CSCとが混合した、いわゆるモザイク状態にあるものと考えられる。そこで、細胞化学的手法を用い、PANC-1細胞でのOct-3/4とALPのモザイク的発現状況を検討した。PANC-1 細胞のanti-Oct-3/4 抗体を用いた免疫細胞化学的染色では、23%が Oct-3/4 陽性であった。また、ALP染色では、19%がALP陽性だった。 一方、Oct-3/4陽性PANC-1 細胞を単離すべく、PANC-1 細胞に環状pOEIN プラスミド(マウスOct-3/4 プロモーター + EGFP cDNA + poly(A) sites + インスレーター + neomycin耐性遺伝子発現ユニットを内蔵)を遺伝子導入した。その結果、ごく一部であるが、EGFP 蛍光を示す細胞が確認されたことから、PANC-1 細胞の一部は内在性の Oct-3/4 を機能的に発現していることが示唆された。以上から、ヒト膵臓癌細胞株の集団中には真のCSCと目される Oct-3/4 発現細胞(およびALP陽性細胞)が少数ながら存在することが明らかになった。現在、直鎖化 pOEIN プラスミドをPANC-1 細胞株へ遺伝子導入し、neomycinのアナログであるG418で細胞を選別することで、Oct-3/4陽性細胞と期待される細胞のみを淘汰し、Oct-3/4陽性PANC-1 細胞の大量取得を試みている。
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Strategy for Future Research Activity |
Oct-3/4陽性PANC-1 細胞を大量に取得後、Oct-3/4陰性で、RT-PCR解析でもOct-3/4の発現がない細胞をOct-3/4陰性細胞(コントロール)として取得する。その後、両者について、増殖性、分裂様式、造腫瘍性などを検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成26年度には積極的な動物実験や解析の可能性もあり、消耗品の購入や動物飼育に費用がかかる可能性があるため。 平成26年度の研究費使用計画は以下の通りである。 物品費:遺伝子工学実験、細胞工学実験に伴う細胞培養試薬、分子生物学用試薬や動物購入などの消耗品は、本研究遂行上必須である。旅費:国内の各種学会への発表・参加するための旅費と資料収集や新潟大学への研究打ち合わせのための旅費も計上している。謝金:免疫組織化学、H-E染色、RT-PCR解析等は、その経験がある大学院生に補助をお願いする予定である。また、論文作製のため論文の校閲とジャーナルへの論文投稿費を計上している。
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Research Products
(7 results)
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[Presentation] ヒト乳歯歯髄由来iPS細胞樹立におけるフィーダー細胞選択の重要性2013
Author(s)
村上智哉, 齊藤一誠, 稲田絵美, 岩瀬陽子, 長谷川大子, 窪田直子, 松本祐子, 大島邦子, 岡 暁子, 山崎要一, 早崎治明
Organizer
第51回日本小児歯科学会
Place of Presentation
岐阜
Year and Date
20130522-20130525