2014 Fiscal Year Annual Research Report
変異KRASを起点とした大腸癌フィールドエフェクトの解明
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24501322
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
角田 俊之 福岡大学, 医学部, 准教授 (70444817)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | KRAS / 3次元培養 / 微小環境 / 薬剤スクリーニング |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者らはこれまでにヒト大腸癌HCT116細胞において活性化KRASのみを破壊したHke3細胞を用いてマトリジェル3次元培養を行い、3次元培養では変異KRASは正常形態に関連する遺伝子群を制御していることを明らかにし、実際にHCT116細胞隗はいびつな形態を示すのに対しヒト大腸癌細胞株HCT116より変異KRASのみを相同組み換えにて欠失させたHKe3細胞は大腸クリプト様の極性を有する形態を示す。この両者を発現アレイにて解析すると3次元環境特異的に変異KRASにより制御されている遺伝子群が存在し、H24年度はPDE4やALPK2およびmiR-181やmiR-210等に関して報告してきた。このように正常構造に関連する遺伝子群を含めた3次元特異的なKRAS制御分子ネットワークの解明は、間質や他の細胞との相互作用を理解する上で重要であると考えられた。 H25年度は、実際にPDE4阻害剤であるレスベラトロールを大腸癌スフェロイドに投与し内腔のアポトーシスを誘導することを確認した。H26年度は、より簡便で再現性の高い3次元浮遊細胞の系を構築した。この浮遊細胞隗はマトリジェルを使用しなくてもそれ自身が細胞隗周囲に間質成分を産生し、周囲の培地組成を調節することで、間質を介した影響等の評価が可能である。実際にハイコンテントな解析をよりハイスループットに行うことが可能であり、HKe3細胞に対して影響がなくHCT116細胞においてのみ効果を示すような薬剤を選択することで、より毒性の少ない変異KRASの下流分子の同定およびその阻害剤の評価が可能になると考えられる。現在、理研より入手した天然物由来化合物のスクリーニングを行っている。
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