2014 Fiscal Year Annual Research Report
網羅的キナーゼ活性プロファイリングによるがん治療標的の探索研究
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24501363
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
洪 泰浩 和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (80426519)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 分子標的治療 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究テーマにおいては、がんの薬物療法の効果予測バイオマーカー及び新規治療標的探索のための手法として、タンパク質レベルでのキナーゼ活性に着目した取り組みを実施してきた。細胞及び腫瘍組織におけるチロシンキナーゼ活性を測定し、薬物に対するその変化及びがんにおける特異的な活性を検出することで、新規治療標的および効果予測バイオマーカーの同定を行うことを目指してきた。以下に本年度及び研究全体での成果を述べる。 前臨床モデルとして、胃がん細胞株を用いた検討を実施した。具体的には、スキルス胃がん細胞株と非スキルス胃がん細胞株におけるチロシンキナーゼ活性の違いについて解析を行い、スキルス胃がんに特異的なキナーゼ活性プロファイルを同定した。また、マルチキナーゼ阻害剤の効果予測バイオマーカーとなる可能性がある特定の活性プロファイルを同定した。本活性プロファイルは今後臨床試験において検証することを予定している。 肺がんにおけるモデル試験として、変異型EGFRを持つ肺癌細胞株と野生型EGFRを持つ肺癌細胞株を用いて、EGFRチロシンキナーゼ阻害剤であるゲフィチニブ、エルロチニブ、アファチニブの3剤でのキナーゼ活性プロファイリング差異を観察した。今回の前臨床モデルで、これら3剤にはチロシンキナーゼ活性の阻害プロファイルに大きな違いがあることが明らかになった。その成果については米国癌学会にて発表を行った。 臨床検体を用いての検討については、小細胞肺がんにおける評価を実施した。腫瘍組織と正常組織から抽出したタンパク質を用いて、ペプチドマイクロアレイによるチロシンキナーゼ活性測定プロファイリングを行い、腫瘍特異的なキナーゼ活性に加えて、Src阻害剤添加時に腫瘍におけるキナーゼ活性が大きく阻害されることを発見した。小細胞肺癌における新規の治療標的となる可能性が示唆された。
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Research Products
(9 results)