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2013 Fiscal Year Research-status Report

内湾の底質汚染とイトゴカイによる汚染底質評価に関する研究

Research Project

Project/Area Number 24510036
Research InstitutionThe University of Kitakyushu

Principal Investigator

上田 直子  北九州市立大学, 国際環境工学部, 教授 (10433400)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 山田 真知子  福岡女子大学, 文理学部, 教授 (30438303)
門上 希和夫  北九州市立大学, 国際環境工学部, 教授 (60433398)
Keywords汚染底質 / イトゴカイ / バイオアッセイ / DNAマイクロアレー / 奇形幼生
Research Abstract

本研究は、検定生物として堆積物食性多毛類のイトゴカイを用い、汚染底質がイトゴカイに及ぼす生態影響を種々のケースで検討を行い、底質のバイオアッセイ法を確立することを目的としている。昨年度は、重金属類、PCB類及びダイオキシン類を含む洞海湾の汚染底質(浚渫予定のもの)を用いてイトゴカイのバイオアッセイを行ったが、実サンプルを用いた場合、底質中に汚染物質が複合的に含まれているため、どの汚染物質がイトゴカイにどのような影響を及ぼしているかを判定する点に課題が残った。そこで、本年度は汚染物質を重金属類とし、海水に亜鉛及びカドミウムを既知濃度添加した汚染海水を用いてイトゴカイのバイオアッセイを行った。その結果、以下のことが明らかになった。
(1) イトゴカイを用いたバイオアッセイ(急性毒性)
遠沈管(50ml)に清浄な底質と重金属類添加の汚染海水を入れてコンパクトなイトゴカイの生息環境を作り、96時間半数致死濃度を求めた。その結果、亜鉛ではイトゴカイのLC50が24.7mg/l、カドミウムでは11.4mg/lの値を得、カドミウムの方が生態毒性が高いことが示された。これらの値は既存の文献値と同レベルであることがわかった。文献値の結果はバイオアッセイに底質を加えない状態で行っており、底質を加えた系と加えない系で毒性影響に差がないことが判明した。
(2) イトゴカイ遺伝子の発現変動で生物影響を判定(慢性毒性)
昨年度得られたイトゴカイの遺伝子配列情報をもとにイトゴカイDNAマイクロアレー(9,223遺伝子)を新規開発した。このDNAマイクロアレー解析により、亜鉛及びカドミウムの毒性に関与する可能性の高い遺伝子群のスクリーニングに成功した。亜鉛及びカドミウムの曝露によってそれぞれ55及び21の遺伝子の発現が変化した。この結果からは、毒性影響を受けた遺伝子数では亜鉛の方がカドミウムより多いことが示唆された。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

(1) イトゴカイを用いたバイオアッセイ(急性毒性)
本年度からイトゴカイの飼育に人工海水を用いることが可能になったこと(生活環を通した飼育で異常がみられないことを確認)及びコンパクトなイトゴカイの飼育装置を確立することができたことで、イトゴカイを用いたバイオアッセイが簡単にできるようになった。この結果、繰り返し実験や汚染物質を変えて実験することが容易になり、イトゴカイの曝露実験系を確立することができたと考える。また、重金属類添加海水でバイオアッセイを行った点で、本来の底質汚染評価の目的と研究方法が異なる危惧があったが、既存の文献値との比較から汚染海水と汚染底質でほぼ同様な結果が得られることを確認できた。
(2) イトゴカイ遺伝子の発現変動で生物影響を判定(慢性毒性)
昨年度の次世代シーケンス解析から得られたイトゴカイ配列情報を絞り込み、35~40塩基長のマイクロアレー用オリゴDNAプローブ配列(9,223種類)を設計し、その塩基配列を基に新規にイトゴカイDNAアレーを作製した。イトゴカイへの慢性毒性評価方法を確立するために、このイトゴカイDNAアレーを利用して、低濃度の亜鉛やカドミウムに曝露したイトゴカイの遺伝子発現量の変化をスクリーニングした。遺伝子発現解析の結果、両重金属から共通に影響を受ける遺伝子を、発現量が増加するもの5種類、発現量が減少するもの2種類に絞り込むことに成功した。

Strategy for Future Research Activity

(1) イトゴカイを用いたバイオアッセイ
確立したイトゴカイの曝露実験系で、約1か月間の長期飼育による慢性毒性の実験を行う。この長期飼育の結果、第二世代に奇形幼生などの異常が発生するかどうかを解析し、奇形発生が慢性毒性評価の判定方法になるかどうかを確認する。
(2) イトゴカイ遺伝子の発現変動で生物影響を判定
遺伝子発現解析の結果得られた、両重金属から共通に影響を受ける数種類の遺伝子について、これらの遺伝子のバイオマーカーとしてのポテンシャルを定量PCRで確認する方法を検討する。
(3) これまでの研究を総括する。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

研究協力者への人件費・謝礼などの支払いが、研究協力者の所属組織の都合上不可能であったため、研究代表者が研究協力者のアドバイスを受けながら、物品費や委託費などの支払いで研究を進めている。このため当初の研究計画より若干遅れが生じているが、本年度もイトゴカイDNAマイクロアレーの使用・解析などで使用する予定である。
(1)水質・底質の分析 15万円  (2)イトゴカイの飼育実験 30万円
(3)DNAマイクロアレーによる解析 35万円 (4)打ち合わせ及び学会での発表等 15万円

  • Research Products

    (1 results)

All Other

All Presentation (1 results)

  • [Presentation] イトゴカイ(Capitella teleta)を用いた底質のバイオアッセイ法の開発

    • Author(s)
      矢鍋毅幸、上田直子
    • Organizer
      日本水環境学会九州支部研究発表会
    • Place of Presentation
      鹿児島県霧島市

URL: 

Published: 2015-05-28  

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