2013 Fiscal Year Research-status Report
沿岸域生息場評価GISシステムのためのテッポウエビ類分布情報の活用に関する研究
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24510041
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Research Institution | Akashi National College of Technology |
Principal Investigator |
渡部 守義 明石工業高等専門学校, その他部局等, 准教授 (00390477)
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Keywords | 海中発音生物 / パルス数 / 沿岸域生物生息環境 / 生物モニタリング |
Research Abstract |
本事業では、申請者が提案したテッポウエビ類の発する音を1分間あたりの発音数(パルス数)で表現する新しい環境指標と沿岸域の水質環境や物理環境などの関係性について体系的に整理し、海域の環境評価システムを構築することを目的としている。本研究期間内では、パルス数の観測から以下の3つを解明する。 1.日本沿岸域のテッポウエビ類の分布:テッポウエビ類の分布を体系的に整理されたデータは存在しない。日本沿岸域のテッポウエビ類の分布状況を調べることを目的に、平成25年度は9月3日~5日の3日間で新潟県糸魚川市から京都府舞鶴市の沿岸部7地点と9月10日~9月14日の5日間で青森県青森市から新潟県佐渡島を含む新潟県刈谷市の沿岸部11地点の合計18地点の観測を実施した。パルス数の差はあるものの全ての地点でテッポウエビ類のパルス音を観測することができた。 2.環境変化がテッポウエビ類の生息分布に与える影響の評価:パルス数とCODや窒素などの水質指標との関連性について分析および生息環境評価を行う。上記1のパルス数観測結果と調査時に測定した水質との関係を調べた結果、平成24年度と同様にパルス数は高緯度になるほど少なく、水温に高い相関があることが分かった。年間の平均水温が生息数に影響していると考えられる。 3.水中に存在する様々な音の解析:水中に存在する種々の音の特性について整理するこれをもとにテッポウエビ類のパルス音の判別精度の向上と本手法の周辺雑音の許容範囲などの適応範囲を明らかにすることを目的に水中音響の解析を行う。上記1の観測時と同時にWAV形式とAD変換しバイナリ―形式とする2つの方法で水中音響の収録を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1.日本沿岸域のテッポウエビ類の分布:日本沿岸域のテッポウエビ類の分布状況を調べることを目的に、平成25年度は9月3日~5日の3日間で新潟県糸魚川市から京都府舞鶴市の沿岸部7地点と9月10日~9月14日の5日間で青森県青森市から新潟県佐渡島を含む新潟県刈谷市の沿岸部11地点の合計18地点の観測を実施した。パルス数の差はあるものの全ての地点でテッポウエビ類のパルス音を観測することができた。おおむね計画通り進んでいると言える。 2.環境変化がテッポウエビ類の生息分布に与える影響の評価:上記1のパルス数観測結果と調査時に測定した水質との関係を調べた他、水中マイクの集音範囲面積と計測されるパルス数との関係を解析した。GISによるデータベース構築では、取り扱うデータが多種多様であるので、整理に工夫が必要であり、現在データの整理方法について検討を進めている。 3.水中に存在する様々な音の解析:上記1の観測時と同時にWAV形式とAD変換しバイナリ―形式とする2つの方法で水中音響の収録を行った。一つは水中音響をWAVファイルとして収録し、もう一方はAD変換しバイナリ―データとして収録した。水中音響データの収集にとどまっているので、次年度以降解析を進める予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
1.日本沿岸域のテッポウエビ類の分布:平成26年度は関西、中国、四国地方の沿岸域のテッポウエビ類のパルス数分布調査を実施予定であったが、調査期間が限られるため日本海側沿岸部の観測に変更する。これに伴い使用しなくなった経費を冬期の調査に充てる。平成24年度にはテッポウエビ類の生息にとって厳しい環境である冬期に調査を行っている。この調査を継続し冬期の北限を明らかにする。 2.環境変化がテッポウエビ類の生息分布に与える影響の評価:沿岸域環境データベースのためのデータ収集を引き続き行う他、テッポウエビ類の生息分布を図鑑や海中写真愛好家らが公開するホームページ(テッポウエビはハゼと共生することで知られている)から情報収集を行いGISで整理し、テッポウエビの種類別の分布地図を作成する。 3.水中に存在する様々な音の解析:収集した水中音響データの解析を逐次実施するとともにパルス音観測方法についても再検証を行う。これまで2つの問題点が明らかとなった、1つは同じ湾内でもパルス数の観測結果が異なること、これは狭い集音範囲であると局所的な環境に左右され同じ湾内でも同一のパルス数を観測できないため、広い集音範囲にすることで局所的な分布がったとしても湾全体として平均化されると考えられる。もう1つは、岸壁など垂直は壁面近傍で観測を行う場合、水中音響の反射が問題である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
日本沿岸域のテッポウエビ類の分布を調べるための調査は、東北地方、北陸地方、関東地方の沿岸部を調べる計画であったが、調査期間が限られていることから日本海沿岸部に調査エリアを変更した。このため当初計画していた飛行機による移動に関わる費用が大きく削減された、一方でレンタカーでの移動が増えたが、全体として経費の減少することになった。 調査旅費の繰り越しについては、研究計画書に記載しているように、自然災害や天候不順等で調査できない場合には次年度の調査あるいは最終年度の補充調査費などに充てる他、テッポウエビ類の生息にとって厳しい環境である冬期に調査を行い、冬期の北限を明らかにする。また、これまでの研究で明らかとなった港湾や防波堤など閉鎖的な空間における音の反射、減衰の効果(影響)を明らかにし、パルス数の誤差あるいは信頼性を評価するため安価な送信用ハイドロフォンの購入と送信用システムを作成する。
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Research Products
(3 results)