2014 Fiscal Year Research-status Report
省エネルギー・環境分野における中国企業の技術キャッチアップシステムと日本の対応
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24510053
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
堀井 伸浩 九州大学, 経済学研究科(研究院), 准教授 (10450503)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 国際情報交換 / 中国 / 技術キャッチアップ / エネルギー / 環境 / 産業分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでの研究実績については、中国の省エネルギー・環境対策の進展(特に第12次五カ年計画による規制強化とその効果)については最新動向を継続的に調査し、短報として雑誌やウェブ記事、年鑑記事などの形で発表してきた。 中国企業のキャッチアップに関する具体的なケーススタディをこれまで進めてきて、既に風力と原子力については論文を発表済である。また当初の研究計画においては挙げていなかったが、近年注目すべき速度で産業として台頭している石炭化学に関しても、その中国企業の技術キャッチアップについての調査を一昨年度と昨年度行った。これについても論文を準備中である。 今年度は既に文献資料を収集済の電力系統(スマートグリッド)についてフィールドワークを行い、ケーススタディを完成させる予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究プロジェクトは当初予定していた3年の期間満了となったが、期間中に日中関係が極度に悪化したため、予定していたアンケート調査や中国側研究者を招聘しての共同研究などを実施できないという想定外の事態が生じた。そのため、当初予定の研究手法を変更し、文献資料を渉猟して読み込むこと、あるいは研究代表者が中国に出張し、フィールドワークを通じて実態の最新動向に関わる情報収集を行うことなどの代替手法を駆使して実のある研究実績を積み上げるべく努めてきた。得られる情報は正直に言えば、当初予定の研究方法を通じたものよりは幅が狭く、深度も限られることは否めないが、他方でコスト面での節約効果は大きい。したがって、もう一年、研究期間を延長させて頂き、その分、時間をかけることで幅と深さを拡大していきたいと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
延長したこの1年については、これまでのケーススタディを追加してフィールドワークを行うなどして補強しつつ、過去3年間のケーススタディの調査結果の取りまとめ、理論的考察を並行して行う予定である(技術キャッチアップ、イノベーションに関する経済学の基本的な理論および代表的な実証研究に関するレビューは既に初年度に実施済)。こうした全ての研究を踏まえて、日本企業が中国市場でどのような技術戦略を取るべきか、日本のグリーン・イノベーション能力の維持、強化のために中国企業との連携、協働をどのように組み込んでいくべきかについての提言もまとめるようにしたい。
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Causes of Carryover |
本研究プロジェクトは当初予定していた3年の期間満了となったが、期間中に日中関係が極度に悪化したため、予定していたアンケート調査や中国側研究者を招聘しての共同研究などを実施できないという想定外の事態が生じた。そのため、当初予定の研究手法を変更し、文献資料を渉猟して読み込むこと、あるいは研究代表者が中国に出張し、フィールドワークを通じて実態の最新動向に関わる情報収集を行うことなどの代替手法を駆使して実のある研究実績を積み上げるべく努めてきた。得られる情報は正直に言えば、当初予定の研究方法を通じたものよりは幅が狭く、深度も限られることは否めないが、他方でコスト面での節約効果は大きい。したがって、もう一年、研究期間を延長させて頂き、その分、時間をかけることで幅と深さを拡大していきたいと考えている。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本年度は電力系統(スマートグリッド)のケーススタディを完成させるために1回、中国におけるフィールドワークの実施を計画している。また8月に台湾でグリーンエコノミーを共通論題とした学会(The 5th Congree of the East Asian Association of Environmental and Resource Economics)に参加することも検討中である。本研究プロジェクトの研究成果を発表するとともに、アジアの他の新興国の省エネルギー・環境分野での国内企業の成長の状況とその背景要因を比較対象とすることで本研究プロジェクトの質的向上に資すると期待できる。 以上の2回の旅費と大会参加費でおおよそ50万円程度の支出となると考えられるが、残る20万円弱(18万円)の研究費については中国の専門書購入に充てたいと考えている。
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