高位置時間分解能を持つ中性子検出器を実現する為の新しい検出器構造の研究

2012 Fiscal Year Research-status Report

• Project/Area Number: 24510135
• Research Category: Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
• Research Institution: High Energy Accelerator Research Organization
• Principal Investigator: 内田 智久 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 助教 (40435615)
• Project Period (FY): 2012-04-01 – 2015-03-31
• Keywords: 放射線検出器

Research Abstract

本研究を遂行する為に必要な技術開発は２つある。一つはシンチレータ開発、もう一つは構造形成技術である。平成24年度はシンチレータ開発と動作確認を中心に行った。
中性子コンバータとなる複数の材料(ボロンを主原料とするもの)を入手し粉体化など行い塗布可能な形態に加工した。またシンチレータ部になるZnS材料も入手し同様に粉体化等を行い塗布可能な形態へ加工した。両者を用いて光検出器に一種であるフォトダイオードに直接塗布し中性子検出器として動作することを確認した。計画書では半導体チップで試験することになっているが経費削減のためにフォトダイオードを用いて実験を行った。フォトダイオードは安価な製品が発売されているので研究当初の想定よりも複数の材料を用いて実験を行うことができた。また、構造研究としてコンバータ部とシンチレータ部を分離した構造やコンバータ材料とシンチレータ材料を混合した場合などを製作する事が出来た。上記以外にも製作したシンチレータの信号を読み出すために読み出し系の研究開発を行った。
本研究を遂行するために必要な技術である、塗布技術、材料技術、粉体加工技術、集積回路技術、読み出し回路技術などの情報収集を積極的に行った。様々な情報を得る事で粉体加工などを実際に行う事が出来た。また本研究の最終目標は集積回路一体化された検出であるので集積回路技術の習得も行った。研究を進める上で必要な材料についての知見が得られたので来年度は構造形成の研究へ重心を移行する予定である。

Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

当初の計画では塗布技術を用いた構造形成に対する研究を始める予定であったが行う事が出来なかった。従って、やや遅れ気味である。しかしながら、これは当初計画していなかった複数の異なる材料について研究を優先したためである。塗布するためには材料加工について研究が必要なので粉体加工を行うための粉砕機などを用いてどのような材料を作ることができるのかを研究を行った。しかしながら、これらの情報により来年度以降の研究を円滑に進める事ができるので最終的には問題にならないと考えている。

Strategy for Future Research Activity

シンチレータを製造し動作する事が確認できたので、構造形成の研究へ移行する。
先ずはシンチレータとコンバータをどのように組み合わせるのかを研究する。24年度の結果からシンチレータ部とコンバータ部を分け2層構造にする構造が必ずしも良いわけではなく材料を混合して塗布しても問題ない可能性がある。25年度は詳細に比較を行う予定である。また当初の計画にある製作可能形状の研究を行う。点状構造の形成、遮光壁の形成、多層構造など幾つかの構造を形成する為には材料特性や装置の動作パラメータなどとの関係を調査する必要がある。どの程度まで小さくできるのかなどの形状形成の限界や形状ばらつきなどを研究する。25年度はこれらの関係について研究を行う。目標はDRAMに構造を形成して検出器を試作する事である。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

B-Aが生じた理由：計画当初予定していた構造形成の研究内容を大幅に縮小した事により研究に使用する材料及び消耗品等の機材の購入を行わなかったため。
25年度の使用目的：構造形成の研究およびより定量的な研究のために以下の事項に使用する。1.成果発表および情報収集のための旅費、2.集積回路および読み出し回路（検出器のベースになる光検出器と読み出し回路）、3.加工装置の消耗品（ノズル、シリンジ、溶剤など）、4.材料購入（シンチレータ、遮光壁など）