2014 Fiscal Year Annual Research Report
高位置時間分解能を持つ中性子検出器を実現する為の新しい検出器構造の研究
Project/Area Number |
24510135
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Research Institution | High Energy Accelerator Research Organization |
Principal Investigator |
内田 智久 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 准教授 (40435615)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 放射線検出器 / 中性子 |
Outline of Annual Research Achievements |
高位置分解能、高時間分解能、高係数率を可能にするための2次元熱中性子検出器製造技術の研究を行った。2次元光半導体検出器となる半導体チップ上に検出効率を向上させた構造を持つ中性子光変換層を形成する事で高性能な熱中性子検出器を実現する事が目標である。 検出部に半導体チップを採用するため、時間分解能を上昇させることが可能となり、位置精度も半導体の加工精度まで向上させることができる。しかし、この検出方式には熱中性子の検出効率が低いという問題がある。本研究では検出効率を向上させるための検出器構造とその製造方法についての研究を行った。 様々な方法を試みた結果、光検出器(PINフォトダイオード)上に中性子を光に変換するシンチレータ層(10B4C+ZnS)を形成、検出効率を上げるためにシンチレータ部に光検出部と垂直な方向に多数の光パイプを格子状に形成する方法を採用した。光パイプ形成のために微細な塗布が可能なディスペンサと呼ばれる定量吐出装置を使用した。この検出器構造により熱中性子の検出効率向上を実現することに成功した。 採用した検出器構造による検出効率の向上は現時点では期待値より低い。これは光パイプが期待通りに形成されていないことが原因と考えている。今後は光パイプの形成技術についてさらなる検討が必要である。光パイプ形成技術の研究開発を進めることで検出効率の向上を進め、2次元光半導体検出器を用いた熱中性子検出器の試作を製造評価する計画である。
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