2013 Fiscal Year Research-status Report
災害への頑健性を考慮したサプライチェーンシステムの最適設計に関する研究
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24510188
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
小島 貢利 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (20273310)
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Keywords | サプライチェーン / 生産・物流 / リスクマネジメント |
Research Abstract |
今年度は、グローバルなサプライチェーンシステムが遭遇する各種の災害に関して分析を行った。国内においては、地震や津波等による電源喪失による生産停止が大きなリスクとして存在し、2000年以降の震度6以上の地震の発生頻度を調査しても時系列的な傾向は推定できなかった。国外においては、タイにおける大洪水や中国の各種のリスク等が存在し、企業の永続的な生産・物流活動に悪影響を及ぼしていることを言及した。 また、サプライチェーンシステムの信頼性に関して、システム全体の可動率に着目し、簡単な数理モデルを用いて解析を行い、災害のような突発的な長期間にわたる停止に備えて、工程間に余分な在庫を常々保持することは、在庫保管コストだけでなく、部品・製品の在庫切れ抑制の観点においても、大きな効果をもたらさないことを数式で示した。 さらに、前後の工程間における停止の同期率と工程単体の可動率が、システム全体の可動率に与える影響を数値例で示した。生産管理において、従来から重要視されている、生産の同期化のみならず、信頼性の高いサプライチェーンの構築においては、“停止の同期化”に関しても重要視すべきであると新たに提案した。 また、多工程生産・在庫システムの生産平準化とその有効性に関しても研究を行い、需要の事前情報がある程度利用可能な場合における平準化手順を提案し、シミュレーションを使った数値実験によって、MRP方式と提案手法との性能比較を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
グローバルなサプライチェーンの数理モデル化を行い、災害の発生のような突発的かつ停止期間が長期に及ぶような確率分布を新たに提案し、数値例により工程間に余分な在庫を常々保持することは、在庫保管コストだけでなく、部品・製品の在庫切れ抑制の観点においても、大きな効果をもたらさないことを証明できた。 さらに、生産拠点数が可動率に与える影響も明確にし、最適なグローバル生産・物流システムの構築に対する指針を与えることが可能となった。
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Strategy for Future Research Activity |
突発的な災害の発生やそれに伴う復旧停止をサプライチェーンシステムの数理モデルに与え、稼働率等の時系列的な変化を観察し、生産・物流計画の修正を指示するための特性値の抽出やその閾値の検討などを行い、環境変化に自動的に適応する機能をシステムに実装する。 時系列的にシステムの特性値が変動する生産・物流システムの数理最適化に関しては、研究代表者らのJIT生産システムに関する過去の研究成果(Kojima,M. et al, An Integrated Production Planning Problem for a Multi-Stage Production System Using Kanban, Industrial Eng. and Management Sys.,(2006))なども応用する。
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Research Products
(6 results)