2012 Fiscal Year Research-status Report
うつ傾向に関わるテクノ依存症と仮想空間依存症への予防策に関する研究
Project/Area Number |
24510208
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Soka University |
Principal Investigator |
坂部 創一 創価大学, 工学部, 教授 (50235165)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | うつ / ストレス / テクノ依存症 / 孤独感 / 共分散構造分析 / QOL |
Research Abstract |
2012年社会情報学会(SSI)学会大会で、「テクノ依存症傾向のうつ傾向に及ぼす影響に関する研究」のタイトルで発表した。また、その成果に加筆した査読付き論文「情報環境におけるテクノ依存症傾向のうつ傾向に及ぼす影響に関する研究」が、環境情報科学論文集に掲載された。概要を以下に示す。 近年,大学でも急増しているうつ傾向の原因として,テクノ依存症傾向とストレスをとりあげ,両者の影響度比較を行った。前者のほうが,悪影響が高いとの仮説を設定し,情報系大学生を対象に調査を実施した後に、その収集されたデータを用いて共分散構造分析で検証した。分析結果から示されたことは、テクノ依存症傾向からうつ傾向へ強い悪影響がみられ,その値はストレスと比較しても2倍以上となり,事前の仮説は横断調査という制約の中ではあるが検証された。これは,テクノ依存症傾向のQOLへの負の連鎖的効果が関連しており,特に人間関係と孤独感への悪影響が強く,ストレスを悪化させる発生源にもなっていることが原因である。 また、インターネット利用目的により影響度が異なることも示された。特に現実逃避目的でのインターネット利用は,さらにテクノ依存症傾向を高め,人間関係と孤独感にも負の波及効果を示しながら,うつ傾向をさらに悪化させる危険性が示唆された。 このように情報化社会の進展とともにうつ病が急増している主要な原因の一つは,テクノ依存症の増加にある可能性も否定できない分析結果となった。このことから,情報化社会におけるうつ傾向の予防策として,テクノ依存症の回避と現実逃避目的のインターネットの利用を控えることの重要性が示唆された。今後は,複数の大学でのケーススタディを積み重ね,最終的にパネル調査で一般化に至るかどうかを検証していきたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予備調査を科研費取得の以前に済ませており、仮説の検証の見込みが高かったので、予想通りの結果となり、順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、再度横断調査を行いモデル再現性を検証し、パネル調査へのステップとしたい。また、従来型うつよりも新型うつに対して、テクノ依存症が親和性が強いことも検証したい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
統計ソフトのバージョンとPCの性能の関係から、今回購入を延期したことで直接経費の使用を次年度に繰り越すことにした。次年度の費用と合算して、より高機能の統計ソフトとPCを購入して、さらなる分析を実施していきたい。
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