2013 Fiscal Year Research-status Report
うつ傾向に関わるテクノ依存症と仮想空間依存症への予防策に関する研究
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24510208
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Research Institution | Soka University |
Principal Investigator |
坂部 創一 創価大学, 工学部, 教授 (50235165)
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Keywords | QOL / テクノ依存症傾向 / うつ傾向 / 新型うつ傾向 / 共分散構造分析 |
Research Abstract |
H24年度の二つの仮説は、以下のとおりであった。 仮説1「テクノ依存症傾向が強いほどうつ傾向が悪化する」と仮説2「うつ傾向悪化への影響度は,ストレスよりもテクノ依存症傾向のほうが高い」 横断調査という限定つきであるが、上記の仮説は今回のケースの場合検証された。しかし、近年新型のうつ傾向が深刻な社会問題として浮上してきた。この新型うつ病とは,真面目で協調性のある性格の人が罹患しやすい従来型とは対照的な性格をもちながら,抑うつ傾向を主病像として呈する病態の総称である。この病になりやすい傾向の性格的要素である「逃避的傾向」と「非協調的傾向」の要素を加えた新型うつ傾向尺度を新たなに作成し,「抑うつ傾向」を含めた三要素の得点パターンから,従来型うつも判別できるようにするのが新しい課題となった。この尺度を適用することで、テクノ依存症傾向の及ぼす悪影響が、どちらのタイプのうつ傾向に強く示されるかを検証することが可能になると思われる。テクノ依存症傾向にも、現実逃避目的でのPC利用とそれに伴う非協調的傾向の悪化がみられ、それが新型うつ傾向を助長するリスクが想定される。 この尺度を開発したH25年度の仮説は、「テクノ依存症傾向が高い学生ほど,従来型うつよりも新型うつ傾向を示す」と設定し、分析と検証結果を以下に示す。 新型うつ傾向と従来型うつ傾向に対する,情報環境におけるテクノ依存症傾向の影響度を比較することを主目的に,情報系大学生を対象に調査し,共分散構造分析で検証した。その結果,テクノ依存症傾向が高まることで従来型うつ傾向よりも新型うつ傾向をかなり悪化させることが検証され,インターネット利用目的により影響度が異なることも示された。このことから,情報化社会における新型うつ傾向の予防策として,テクノ依存症の回避と現実逃避目的のインターネットの利用を控えることの重要性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初、テクノ依存症傾向はうつ病全体を悪化させるという仮説を想定していたが、分析を進める過程で、従来型と新型の二種類のうつ傾向に区分することで、そのテクノ依存症傾向のもたらすリスクの程度に差がある可能性を示すことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
新型うつ傾向とは、近年IT業界等で仕事の時のみうつ傾向に陥り、休職を余儀なくされる青年が増加して、深刻な社会問題となっている症状である。学生のうちからその予備軍的傾向を示す学生がいるとの仮説を去年の継続研究として再検証する。今回の新規性は、新型うつ傾向尺度の改善と、予防策として主に運動をとりあげ、特に単独よりも共同運動がより効果的であることを、QOLの視点から検証する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
最終年度にかかる経費が当初の予定よりかかりそうなので、その分を残すことになりました。 統計ソフト代、PC購入代、アルバイト代、印刷経費、旅費等に使用する予定です。
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Research Products
(2 results)