2013 Fiscal Year Research-status Report
GPS軌道誘導空撮機を用いた自動航空測量によるハザードマップ作成と災害状況の把握
Project/Area Number |
24510222
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Research Institution | Kitami Institute of Technology |
Principal Investigator |
羽二生 博之 北見工業大学, 工学部, 教授 (70172955)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 聡一郎 北見工業大学, 工学部, 教授 (30250541)
高井 和紀 北見工業大学, 工学部, 助教 (50271755)
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Keywords | 自然災害 / ハザードマップ / 航空測量 / GPS誘導 / 無人航空機 |
Research Abstract |
昨年度開発した赤外線水平センサーを用いた飛行高度自動制御システムを用いて、湧別川の河川敷浸食と川床蛇行が著しい箇所において下流方向約1Km川幅方向約0.5Kmの範囲において飛行高度をほぼ290mに保って空撮を行った。 機体の軌道制御に伴うローリングによって生じるカメラアングルの左右への揺れは昨年度開発した三軸加速度センサーを用いた制御によって以前の可視光センサー使用時よりも大幅に抑制できた。 また、最近高性能化が進むステレオ写真3D測量ソフトを用いてこの河川敷の写真を解析し、川床および河川敷さらには周囲の樹木等の三次元立体画像を生成することができたことから、本システムをハザードマップ作成に応用できる目処が立った。 なお、湧別川の河川敷内空撮に先立って、北見市を流れる常呂川河川敷周辺の空撮を繰り返して制御システムのチューニングを行った。 墜落事故を防ぐために、本研究での自動操縦システムは無線手動操縦をアシストする半自動システムとして開発しており、飛行範囲は無線手動操縦者から600mの範囲に限定し、地上からの操作で自動操縦をいつでも強制的に終了できるようにしている。 このため、釧路湿原の環境観察などの空撮には飛行範囲が狭いため、無線操縦可能な範囲が2~3Kmの海外製無線操縦装置を導入してみたが、ノイズに対して非常に弱く、テストフライトで墜落してしまった。 そのため、機体の無線操縦可能範囲を従来のままとして、カメラアングルを斜め横に方向に向けてより広範囲の空撮を行えるようにした。 特に釧路湿原では湿地の水の分布によって植生が変わることから、近赤外線による空撮が有効であるが、カメラを斜め横に向けることで画像輝度にグラデーションが生じてしまうため、真下に向けた空撮とは異なる結果が得られる。 平成25年度は農地の近赤外線による斜め空撮を実施し、グラデーション補正も行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1)開発した飛行高度自動制御システムを用いて飛行高度が安定したことで、航空測量に使える大量の空撮画像を得ることができた。 また、それら画像を用いて浸食が進む河川敷内の三次元立体画像を得ることができた。 2)カメラアングル自動制御では、太陽の向きに影響を受けやすい可視センサーに替わって加速度センサーを用いることでカメラアングルの左右への揺れが大幅に軽減されることを定量的に確認できた。 3)機体重量が7Kg程度あることから、安全に機体を発進できるカタパルトを製作して空撮を繰り返すことができた。4)機体搭載のGPSとマイコンをより小型なものにして1ボードに実装して無線モデムに接続すことで、電源の小型化も含めた軽量化ができた。 これを受けて、26年度に向けてより小型の機体を新たに製作した。 5)機体の飛行範囲を超えた空撮のために斜め横方向の空撮を行えるようにした。 それによって生じる近赤外線空撮でのグラデーションを補正する手法を開発した。 6)測量会社からの依頼で雄武町のオコツナイ川河川改良工事現場の空撮を行い、工事箇所の鮮明な画像を得ることができ、本システムの実用性と応用範囲の広さを示すことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
1)これまで飛行自動制御は飛行高度のみであったが、赤外線水平センサーの前後左右方向の水平センシング機能を活用して、左右への旋回飛行軌道の制御を行う。 離陸して高度20mを越えたところから電子地図上であらかじめ定めた飛行軌道に沿って自動飛行し、所定の場所を空撮した後ちに高度20mまで自動的に降下させるシステムを開発する。 2)25年度使用した航空測量ソフトでは、評定点のGPS座標を与えることでより正確な地形座標が得られることから、空撮現場の評定点測量を行い、洪水時の水没領域を把握できるようにする。 3)近赤外線による斜め方向の近赤外画像のグラデーション補正はこれまでビート畑で行って来たが、より多種類の植生に対して補正を行い、釧路湿原などでも活用できるようにする。 4)カメラアングル自動制御機構などの部品を3Dプリンターで製作し、機体のより軽量化を図るとともに、実用化に向けた外見の改善も図る。 5)機体を誘導するために、機体に搭載されたGPSのリアルタイムな位置情報を基に地上にあるPC画面上の電子地図に飛行現在位置や高度などを表示する地上モニタリングシステムを数年前に開発して使用しているが、電子地図の表示範囲が固定されていたり電子地図のダウンロードに手間が掛かることから、エンドユーザーには使い勝手が良いものとは言えなかった。 そのため、タブレットPC上に飛行現在地を中心としたグーグルマップを自動的に表示させて、エンドユーザーの負担を軽減するように改良を行う。 6)システムの有用性を北海道開発局や測量会社にアピールして実用化をめざす。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究分担者の年度末の残額9円の処理で研究遂行に有用な少額事務用品が見つからなかったため。 平成26年度の残額処理においては端数が残らないように最善を尽くす。
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