2013 Fiscal Year Research-status Report
TATAレスプロモーターにおける重複GGAA配列の生物学的意義の解明
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24510270
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
内海 文彰 東京理科大学, 薬学部, 准教授 (00256679)
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Keywords | TATA-less promoter / GGAA / mitochondria / interferon / DNA-reapir |
Research Abstract |
これまでに本研究室では、50種類以上のヒト遺伝子プロモーター領域を含むLucレポータープラスミドを種々の細胞にトランスフェクションし、プロモーター活性を測定する多検体アッセイ法を確立することに成功した。平成24、25年度においては、ヒトインターフェロン(IFN)応答性遺伝子(ISG)プロモーター領域を単離し、レポータープラスミドを構築して、それらに含まれる重複GGAA配列の重要性を明らかにすることに成功した。このアッセイを応用してIFN刺激だけでなくDNA損傷刺激、細胞増殖(停止)刺激、レスベラトロール等の抗老化薬物処理等に対する重複GGAA配列の応答を調べることができる。昨年度はまた、ヒトTP53遺伝子プロモーター領域に存在する重複GGAAモチーフとE2F結合エレメントが天然の物質であるレスベラトロールに対する協調的な応答に重要な役割を果たしていることが明らかとなった。現在、国際学術雑誌への投稿(リバイス)の段階となっている。さらに、In silicoゲノムDNAデータベース解析を行ったところ、ミトコンドリア機能関連遺伝子のプロモーター領域にも非常に高頻度で重複GGAA配列の見出される事実が判明した。この結果は既にOPEN Accessの学術誌に掲載された。現在ヒトミトコンドリア機能関連遺伝子のプロモーター領域のクローニングを展開している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、最終的な目標として以下の2つ仮説の証明に取り組むものである。即ち、一般的に真核細胞の転写開始における機能が非常によく研究されているTATAボックスではなく、重複GGAA配列によって転写が支配されるヒト遺伝子が多く存在していること、そして この重複GGAA配列による転写開始メカニズムがヒト遺伝子の細胞分化誘導刺激、DNA損傷応答、IFN応答、そしてエネルギー代謝応答等に重要な役割を果たしているということである。ヒトゲノムDNA配列情報を解析し、重複GGAA配列の重要性の示唆される点については、すでにいくつかの学術雑誌に報告した。本研究遂行にあたっては、まず種々のヒト遺伝子プロモーターを単離し、レポータープラスミドを構築する必要がある。現在得られているものとしては、OAS1を含む複数のISG、そしてTP53、SUMO1、E2F4、KLF4遺伝子のプロモーターがあるが、これらのうち幾つかについては欠失または点突然変異を導入することによってGGAA配列の重要性を確認することができた。現在、ミトコンドリア機能関連因子をコードする遺伝子にも重複GGAA配列が高頻度で見出されることに注目しており、細胞内エネルギー代謝状態によるTCA(クレブス)サイクル関連遺伝子発現調節機構の解明にも着手する必要があると考えている。以上の通り、現在までの経過は「おおむね順調に進展している」と評価できた。
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Strategy for Future Research Activity |
現在得られているOAS1を含む数種類のISG、TP53、SUMO1、E2F4、KLF4、そしてTERT等の遺伝子プロモーターについて、細胞分化誘導刺激、レスベラトロール等の抗老化制御化合物、DNA損傷刺激、エネルギー代謝制御刺激等に対する応答を解析することができるようになった。ETSファミリータンパク質だけでなく、NF-kappaB、IRF、あるいはSTATタンパク質等の転写因子も周囲のDNA塩基配列によっては重複GGAA配列を認識する場合既に明らかとなっている。従って、重複GGAA配列による転写反応においては複数の転写因子の作用によって正にも負にも調節可能であることが予測される。今後の研究においては、これまでに得られている遺伝子プロモーター領域の欠失または点突然変異導入を詳しく行うことによってプロモーター活性と種々の刺激に対する応答に関わるDNA塩基配列を明らかにすると共に、EMSAやChIP解析等を行ってその配列に対する結合因子を調べ、重複GGAA配列による転写開始メカニズムを明らかにしたい。さらに、細胞内代謝産物、特にNAD+、S-アデノシルメチオニンやアセチル-CoA等の分子やミトコンドリア機能によって制御される遺伝子の転写制御機構に重複GGAA配列の関与する可能性についても実験を通して証明したいと考えている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度中に残額774円が生じましたが、研究で用いる試薬等で支出することができませんでした。平成26年度の直接経費分が90万円と昨年度繰越分774円を本年度の合計支出可能額とさせていただけましたらお願いいたします。 平成26年度においても平成24、25年度の研究を発展的に引き続き行う。つまり、種々のヒト遺伝子プロモーター領域の単離を中心に進めることになるが、細胞分化関連遺伝子やISGのプロモーター領域ばかりでなく、DNA修復やミトコンドリア機能関連遺伝子のプロモーターや人工的なDNA配列によるプロモーター活性の検討も進める予定である。そのため、遺伝子工学に用いる制限酵素、修飾酵素、特に耐熱性DNAポリメラーゼ等が必要である。また、細胞培養とレポーターアッセイも継続するため、細胞培地、ウシ胎児血清、そしてLucレポーターアッセイ用試薬は必須となる。また、DNA-タンパク質複合体検出を行うためのDIG-標識EMSA用試薬やChIPアッセイ用試薬を用いる予定であり、平成26年度においては、以上の研究遂行に伴った消耗品購入をする場合には、平成24、25各年度とほぼ同額の研究費の使用が予想される。
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Research Products
(26 results)