2014 Fiscal Year Annual Research Report
細胞寿命研究モデルとしての出芽酵母二倍体細胞における寿命制御メカニズムの解明
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24510279
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Research Institution | Nagahama Institute of Bio-Science and Technology |
Principal Investigator |
向 由起夫 長浜バイオ大学, バイオサイエンス学部, 准教授 (60252615)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 酵母 / 寿命 / 老化疾患モデル / 二倍体細胞 / トランスクリプトーム解析 / メタボローム解析 / 必須遺伝子 |
Outline of Annual Research Achievements |
出芽酵母は、遺伝学的解析に適した一倍体を用いて多くの寿命遺伝子が発見されるなど、細胞レベルの老化・寿命制御機構の解明に貢献してきた。しかし、高等生物と同じ二倍体の出芽酵母株が一倍体株よりも長寿命なので、一倍体株を高等生物のモデルとして研究するには問題がある。本研究の目的は、出芽酵母の二倍体細胞で働く寿命遺伝子とその転写制御因子を同定して解析することにより、一倍体細胞を用いた従来研究では見逃していた二倍体細胞の寿命制御機構を明らかにすることである。本研究の成果は、これまでの倍数性の問題を解決し、高等生物の老化・寿命研究モデルおよび老化疾患モデルとしての出芽酵母の有用性をより高めるものになる。 最終年度には、老化段階で変化する転写と代謝を網羅的に解析することにより、細胞老化に関係する遺伝子を同定することを試みた。細胞の老化に伴い、多くのアミノ酸が減少し、TCA回路中間代謝物が増加することを明らかにした。この代謝変化はこれらの代謝物を触媒する酵素遺伝子の転写レベルの変化と一致した。また、老化細胞において栄養が枯渇していないにもかかわらず定常期で誘導される遺伝子が高発現することをみいだし、それらの中には寿命を制御する遺伝子が含まれていた。これは、前年度までに培ったトランスクリプトームとメタボローム解析技術を生かした研究であり、今後、二倍体細胞の老化研究に応用できる。 研究期間全体を通じて、二倍体特異的な発現を指標として、二倍体細胞で特異的に働く寿命遺伝子を同定することはできなかったが、多くの新規寿命遺伝子を発見することができた。また、二倍体株を利用した新しい寿命遺伝子同定法を提案し、これまでに寿命への関与が解析されなかった増殖に必須な転写因子遺伝子のヘテロノックアウト株の中から、新しい寿命遺伝子を同定することに成功した。
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Research Products
(6 results)