2013 Fiscal Year Research-status Report
新規モデリング法を利用したモジュラーキチナーゼの立体構造と抗真菌機能の相関の解明
Project/Area Number |
24510302
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Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
野中 孝昌 岩手医科大学, 薬学部, 教授 (30242457)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
毛塚 雄一郎 岩手医科大学, 薬学部, 助教 (50397163)
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Keywords | キチナーゼ / 抗真菌活性 / モデリング / 溶液散乱 |
Research Abstract |
本研究課題で対象とするキチナーゼは、真菌の細胞壁構成成分の一つであるキチンを分解することで抗真菌活性を示す。研究対象としている細菌キチナーゼ(ChiC)はN末端側にキチン結合ドメイン、C末端側に活性ドメインを持っており、抗真菌活性の発現には2つのドメインが同一分子内にあることが重要である。これまでに進めてきた研究により、2つの機能ドメインはリンカーにより空間的に隔てられて位置していることが分かっている(Kezuka et al., J. Mol. Biol. 2006; Kezuka et al., Proteins 2010)。今年度は、昨年度構築した発現系を用い、リンカーの長さを2-3倍に延長した変異酵素(リンカー延長型)および、リンカーの配列を植物キチナーゼ(OsChia1b)のものと置き換えた変異酵素(リンカー置換型)の調製を試みた。この系では、これまで解析してきた野生型と同様、シグナルペプチドを付加した変異酵素を大腸菌のペリプラズム領域に発現させる仕組みになっているが、実験に充分な酵素の発現量を得ることができなかった。そこで、新たにC末端にヒスチジンタグを付加した変異酵素を細胞質に発現させる系を構築、変異酵素を調製し、触媒活性および抗真菌活性を測定した。野生型およびすべての変異酵素はほぼ同等の触媒活性および抗真菌活性を示した。しかしながら、抗真菌活性測定の際にいずれの酵素も不明瞭な阻止円を示した。精製のために付加したタグにこの原因があることが考えられた。今後、この点を考慮し研究を進める。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
変異酵素の発現量が野生型と同じ系では不十分であったこと、新たに構築した系から得た変異酵素ではC末端に付加したタグが活性に影響及ぼしている可能性が考えられたことから、新たな系を構築し直す必要が考えられた。当初の予定よりも試料調製に時間が掛かってはいるが、新たな系での変異酵素(タグ無し)の発現量は問題ないことが確認できており、今後速やかに触媒活性および抗真菌活性測定に移行できるものと思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
新たな系で調製したタグの無い変異酵素(と野生型酵素、すでに調製条件決定済み)を用いて触媒活性および抗真菌活性測定を測定し、リンカーの相違による活性への影響を検証する。測定法は前年度に確立しており、タグの無い変異酵素の発現がすでに確認されていることから、大きな問題なく遂行できるものと思われる。並行して溶液散乱実験のための、野生型および変異酵素を備蓄する。溶液散乱実験では、ドメイン配置の検証が大きな目的となる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
変異酵素の調製に時間を要し、当初計画していた溶液散乱実験に至らなかったため。 平成25年度に使用しなかった研究費は、溶液散乱実験を行うための消耗品、試薬、旅費等に使用する。溶液散乱実験用の大量試料調製には、時間と手間が掛かる。26年度に配分される研究費については、調製を迅速に行うために実験補助員1名の雇用をはじめ、成果発表や消耗品、試薬等に使用する。
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Research Products
(1 results)