2014 Fiscal Year Annual Research Report
スペインにおける「少数言語」の対外普及に関する言語政策論的比較研究
Project/Area Number |
24510340
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
萩尾 生 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (10508419)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長谷川 信弥 大阪大学, 言語文化研究科(研究院), 教授 (20228448)
塚原 信行 京都大学, 学内共同利用施設等, 准教授 (20405153)
柿原 武史 南山大学, 外国語学部, 准教授 (10454927)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 言語政策 / 少数言語 / 対外言語普及 / 文化外交 / スペイン / バスク / カタルーニャ / ガリシア |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度は、前半に次の3件の実地調査を実施した。(1)前年度に実施できなかったガリシア語の対外普及に関する再度の聴取、(2)フランス領バスク語圏におけるバスク語対外普及の実態調査、(3)フランス領カタルーニャ語圏におけるカタルーニャ語対外普及の実態調査。 こうして(1)からは、独自の対外言語普及機関を持たないガリシア語の対外普及を、ガリシア自治州政府言語政策局がさまざまな形で推進している現状が判明した。また(2)と(3)からは、フランス領内のバスク語/カタルーニャ語圏がそれぞれエチェパレ・バスク・インスティテュート/ラモン・リュイ・インスティテュートの活動対象領域に入っていないことがわかった。さらに、在外同胞に対する言語「普及」活動の有り様が、(1)(2)(3)において異なることも明らかになった。 この調査結果と過去2年半に及ぶ実地調査結果に基づく議論を合わせて、年度後半には、多言語社会研究会第8回大会において、「越境する少数言語の射程ー現代スペインにおける国家語と少数言語の対外普及政策ー」と称するミニシンポ(一般公開)を開催し、本研究の成果報告を行った。その枢要は、スペイン語をはじめとする国家公用語の対外普及政策が当該国家の標榜する政治経済的価値の拡散を追求する傾向が強いのに対し、本研究で取り上げた「少数言語」の対外普及政策は、言語を地域固有の資源として対外的に照射して、その固有資源の価値に対する外部からの承認や連帯を獲得し、翻ってみずからの地域に対する誇りや愛着、はたまたみずからの言語・文化の継承・創造への寄与を喚起するような社会文化的効果を追求する傾向が強い、という点にある。 目下、成果報告をとりまとめ、本研究に携わった4名の共著という形で、多言語社会研究会編『ことばと社会』に投稿中である(査読中)。
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Research Products
(10 results)